骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の効果的かつ効率的予防に関する臨床的研究(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500379A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の効果的かつ効率的予防に関する臨床的研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(痴・骨)-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 邦夫(大阪市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
12,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒッププロテクター(HP)は高齢者の大腿骨頸部骨折(HF)予防に有用と考えられるが、既報の14 Randomized controlled trials (RCTs)の結果は一致しない。我々は、様々な骨折危険因子を有する高齢者を対象とした試験で、評価項目の設定が不十分であることが不一致の原因であると考え、評価項目を増やした大規模RCTにてHPの有効性を検討した。3年を経て、600名を越えるRCTの結果を出すことが出来た。また、HPに2度にわたる改良を加え、その効果を検討した。
研究方法
76高齢者施設をHP:コントロール(C)が3:1になるよう無作為割付を行った。逆に、職員負担を減らし継続率を高めるために、HP群は5名・C群は15名を各施設よりエントリーした。組入れ基準は65歳以上の骨折危険因子を有する起立可能な女性で、インフォームドコンセント取得後、身長・体重・体脂肪率・握力・踵骨骨量・認知度・服薬状況・骨折転倒歴・ADL調査・床硬度調査を行った。
結果と考察
 エントリー数は2005.3.31の時点で689名(HP:357, C:332)であり、HFは計38件(HP:11, C:27)発生した。Cox 比例ハザードモデルによりHF発生に対して有意であった因子はHP装着・BMI・過去の転倒回数であった。年齢・床の硬さ・MMSE・BMI・過去の転倒回数及びHP装着の有無を要因とした多変量解析では、HP装着によるハザード比は0.45(95%CI 0.21-0.95, P=0.036)であった。
 転倒は計986回生じ、HP群(1.46/人)がC群(1.38/人)より多かったが、他の部位の骨折発生頻度には差を認めなかった。HP継続率は82.7%で、全RCT中第一位の成績であった。
 股割れ型の改良は全く効果が無く、新しいジャージ型HPの効果に関して、受け入れは良好ではなかった。これまでのRCTに欠けていた評価項目も考慮した我が国初の大規模RCTでHPが高齢者のHF予防に有効であることを証明した。ただし、HP群の12例の骨折中、5例は転倒時非着用・2例は尻餅型転倒であったことから、HPの更なる改良も必要である。
結論
本研究を遂行するために、2チームの臨床研究実施チームを組織し、臨んだ。チーム各人の働きにより、このようなすばらしい成果を得ることが出来た。このような臨床チームを結成することにより、世界に並びうる研究が出来ることが証明された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200500379B
報告書区分
総合
研究課題名
骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の効果的かつ効率的予防に関する臨床的研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(痴・骨)-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 邦夫(大阪市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒッププロテクター(HP)は高齢者の大腿骨頸部骨折(HF)予防に有用と考えられるが、既報の14 Randomized controlled trials (RCTs)の結果は一致しない。我々は、様々な骨折危険因子を有する高齢者を対象とした試験で、評価項目の設定が不十分であることが不一致の原因であると考え、評価項目を増やした大規模RCTにてHPの有効性を検討した。3年を経て、600名を越えるRCTの結果を出すことが出来た。また、HPに2度にわたる改良を加え、その効果を検討した。この過程で、マンパワーが必要不可欠と考え、臨床研究実施チームを結成し、以下の研究を行った。
研究方法
76高齢者施設をHP:コントロール(C)が3:1になるよう無作為割付を行った。逆に、職員負担を減らし継続率を高めるために、HP群は5名・C群は15名を各施設よりエントリーした。組入れ基準は65歳以上の骨折危険因子を有する起立可能な女性で、インフォームドコンセント取得後、身長・体重・体脂肪率・握力・踵骨骨量・認知度・服薬状況・骨折転倒歴・ADL調査・床硬度調査を行った。
結果と考察
エントリー数は2005.3.31の時点で689名(HP:357, C:332)であり、HFは計38件(HP:11, C:27)発生した。Cox 比例ハザードモデルによりHF発生に対して有意であった因子はHP装着・BMI・過去の転倒回数であった。年齢・床の硬さ・MMSE・BMI・過去の転倒回数及びHP装着の有無を要因とした多変量解析では、HP装着によるハザード比は0.45(95%CI 0.21-0.95, P=0.036)であった。
 転倒は計986回生じ、HP群(1.46/人)がC群(1.38/人)より多かったが、他の部位の骨折発生頻度には差を認めなかった。HP継続率は82.7%で、全RCT中第一位の成績であった。
これまでのRCTに欠けていた評価項目も考慮した我が国初の大規模RCTでHPが高齢者のHF予防に有効であることを証明した。ただし、HP群の12例の骨折中、5例は転倒時非着用・2例は尻餅型転倒であったことから、HPの更なる改良も必要である。
結論
このような臨床チームを結成することが出来れば、世界と対等に戦うことの出来るデータを出せることも明らかとなった。添付資料にあるように、我々のチームから平成17年度日本骨粗鬆症学会奨励賞および第二回転倒予防医学研究会転倒予防大賞の受賞者が出たことは、望外の喜びであるとともに、臨床研究実施チームという戦略の優秀性を示すものだと考えている。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500379C