高齢者の腰痛症に係るより効果的かつ効率的な診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200500354A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の腰痛症に係るより効果的かつ効率的な診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する研究
課題番号
H16-痴呆・骨折-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚運動機能医学講座整形外科)
  • 菊地 臣一(福島県立医科大学整形外科)
  • 四宮 謙一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科先端医療開発学系脊椎脊髄神経外科学部門)
  • 持田 讓治(東海大学医学部医学科外科学系整形外科学)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部整形外科)
  • 武政 龍一(高知大学医学部生体機能感染制御学講座運動機能学教室)
  • 藤野 圭司(藤野整形外科医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
22,148,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者における腰痛症の病態解明とその治療法の確立は、緊急性を要する課題のひとつである。エビデンスに基づいた医療の視点から、効果的な診断基準やガイドラインの作成、疫学データの蓄積、および最適な治療方法と後療法の開発が急務である。
研究方法
骨強度予測解析法をもとに皮質骨と海綿骨のモデル化をおこない、骨粗鬆性腰椎に応用できる方法へ改良した。高齢者腰痛症患者の臨床疫学データを大規模に収集し問診票による腰部脊柱管狭窄症の診断ツールの開発を行った。65歳以上の腰痛患者を対象に多裂筋直上にポータブル型表面電極を取り付け、立位座位安静時、前後屈時、歩行時において筋電図を測定し有用性を検討した。椎間板変性機序について細胞外基質代謝を生化学的に解析し、退行性変性に関与する特異的遺伝子をマイクロアレイによってスクリーニングした。髄核細胞と自家同種骨髄間葉系幹細胞の共存培養、および変性椎間板へのin vivo移植の検討をおこなった。骨粗鬆症性脊椎骨折に対するリン酸カルシウムセメント(CPC)を用いた椎体形成術を開発し、その安全性および有効性の検証と低侵襲手技への改良をおこなった。
結果と考察
実証試験では椎体上方で圧縮ひずみが増大し実際の骨折部位と一致していた。この強度解析法が骨粗鬆症患者の骨折リスク予測に有用かどうか解析をすすめている。腰部脊柱管狭窄症の診断ツールは、感度84% 特異度78%でプライマリーケアでのスクリーニングに有用であった。腰痛と腰背部筋活動量の相関関係が明らかとなった。CD24が脊索細胞特異的な表面抗原マーカーとして椎間板髄核のみならず脊索腫の診断における臨床的意義が示唆された。骨髄間葉系幹細胞が変性椎間板に局在し、細胞間接着を介する共存培養系で活性化された髄核細胞を再挿入することによって椎間板変性進行を抑制することが動物実験で示された。CPCを用いた椎体形成術は早期除痛効果が得られ、圧縮強度を高く維持する条件は高粉液比と血液混入抑制であることが示された。
結論
今後は大規模な患者対照研究へ展開し、高齢者の腰痛症に対する診断・治療・リハビリテーションのガイドラインを作成し、国内における研究基盤を整備することで、「腰痛に悩む国民の救済」という社会的インパクトに直結するような臨床現場への有効な還元を目指す。

公開日・更新日

公開日
2006-05-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200500354B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の腰痛症に係るより効果的かつ効率的な診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する研究
課題番号
H16-痴呆・骨折-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 中村耕三(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚運動機能医学講座整形外科)
  • 菊地臣一(福島県立医科大学整形外科)
  • 四宮謙一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科先端医療開発学系脊椎脊髄神経外科学部門)
  • 持田譲治(東海大学医学部医学科外科学系整形外科学)
  • 千葉一裕(慶應義塾大学医学部整形外科)
  • 武政龍一(高知大学医学部生体機能感染制御学講座運動機能学教室)
  • 藤野圭司(藤野整形外科医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者における腰痛症の病態解明とその治療法の確立は、緊急性を要する課題のひとつである。エビデンスに基づいた医療の視点から、効果的な診断基準やガイドラインの作成、疫学データの蓄積、および最適な治療方法と後療法を開発すべく研究をすすめた。
研究方法
骨強度予測解析法をもとに皮質骨と海綿骨のモデル化をおこない、骨粗鬆性腰椎に応用できる方法へ改良した。高齢者腰痛症患者の臨床疫学データを大規模に収集し問診票による腰部脊柱管狭窄症の診断ツールの開発を行った。腰痛患者を対象に立位座位安静時、前後屈時、歩行時において腰部表面筋電図を測定した。椎間板変性機序について退行性変性に関与する特異的遺伝子をマイクロアレイによってスクリーニングした。髄核細胞と自家同種骨髄間葉系幹細胞の共存培養、および変性椎間板へのin vivo移植の検討をおこなった。骨粗鬆症性脊椎骨折に対するリン酸カルシウムセメント(CPC)を用いた椎体形成術を開発し、その有効性の検証と低侵襲手技への改良をおこなった。
結果と考察
実証試験では椎体上方で圧縮ひずみが増大し実際の骨折部位と一致していた。この強度解析法が骨粗鬆症患者の骨折リスク予測に有用かどうか解析をすすめている。腰部脊柱管狭窄症の診断ツールは、感度84% 特異度78%でプライマリーケアでのスクリーニングに有用であった。腰痛と腰背部筋活動量の相関関係が明らかとなった。CD24が脊索細胞特異的な表面抗原マーカーとして椎間板髄核のみならず脊索腫の診断における臨床的意義が示唆された。骨髄間葉系幹細胞が変性椎間板に局在し、細胞間接着を介する共存培養系で活性化された髄核細胞を再挿入することによって椎間板変性進行を抑制することが動物実験で示された。CPCを用いた椎体形成術は早期除痛効果が得られ、圧縮強度を維持する条件は高粉液比と血液混入抑制であった。さらに骨粗鬆症治療薬の効果についてエビデンスのある臨床治験をすすめる研究チームを整備した。
結論
今後は大規模な患者対照研究へ展開し、高齢者の腰痛症に対する診断・治療・リハビリテーションのガイドラインを作成し、国内における研究基盤を確立することで、「腰痛に悩む国民の救済」という社会的インパクトに直結するような臨床現場への有効な還元を目指す。

公開日・更新日

公開日
2006-05-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500354C