軽度認知症高齢者の介護予防及び症状緩和システム開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500345A
報告書区分
総括
研究課題名
軽度認知症高齢者の介護予防及び症状緩和システム開発に関する研究
課題番号
H17-長寿-038
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
内藤 佳津雄(日本大学 文理学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 治(静岡福祉大学 社会福祉学部)
  • 下垣 光(日本社会事業大学 社会福祉学部)
  • 小野寺 敦志(認知症介護研究・研修東京センター)
  • 阿部 哲也(認知症介護研究・研修仙台センター)
  • 檮木 てる子(静岡福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
要介護認定、要支援認定を受けている軽度認知症高齢者の現況について明らかにし、介護保険制度における軽度認知症高齢者への介護サービス像について明らかにすることを目的とした。
研究方法
全国の通所介護事業所および認知症対応型共同生活介護事業所各2500カ所をランダムサンプリングし、事業所調査、利用者調査、介護職員調査の3種類の調査について郵送で調査の協力依頼を行った。回収は通所介護事業所625カ所(25.0%)、認知症対応型共同生活介護事業所915カ所(36.6%)であった。
結果と考察
通所介護では、登録者のうち、要支援・要介護1で認知症高齢者の日常生活自立度(以下、認知症自立度)がⅠである者の割合は、平均して全登録者中の10%、要支援+要介護1の20%であった。認知症対応型共同生活介護では、入居者のうち、要介護1で認知症自立度がⅠである者の割合は、平均して全入居者中の12%、要介護1の40%であった。利用者調査の結果から軽度認知症高齢者を中等度以上の認知症高齢者と比較すると、屋外移動は軽度と中等度以上で大差ないが軽度では室内歩行で自立歩行が多い、軽度でも入浴・洗身介助が必要な割合は半数近い、家事の実行状況と能力の評価が不一致である、BPSDについては「歩き回る」、「昼夜逆転」などは軽度では少ない、人物や場所の記憶・見当識・コミュニケーション能力は良好で会話中に話題が持続できる人が多い、出来事の記憶も軽度では1週間程度でも半数が「少しでも覚えている」、活動性や参加意欲は中等度以上と大差ないが軽度では参加の自発性が高い、などであった。介護職員から見た軽度認知症高齢者像は中等度以上の認知症高齢者よりも、認知症でない軽度要介護者像と近かった。
結論
軽度認知症高齢者の人数は高齢者介護施策全体のなかで無視できない量であることが明らかになった。軽度認知症高齢者の平均的状態像は、中等度以上の認知症高齢者と比べるとて認知記憶機能の課題の特徴は異なっており、潜在的な活動性の評価は高いが、必ずしも行動や生活に活かされていない様子が窺われた。軽度認知症高齢者の利用者の状況や状態像から、介護予防と認知症介護の両面を持った活動性を支えるサービス像を考慮する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-20
更新日
-