高齢者の排便機能障害評価法と尊厳の回復に関する研究

文献情報

文献番号
200500311A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の排便機能障害評価法と尊厳の回復に関する研究
課題番号
H16-長寿-026
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
萱場 広之(秋田大学医学部医学科統合医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 茆原 順一(秋田大学医学部医学科統合医学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,811,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
排便障害の病態に即した介護・治療排便障害を有する高齢者の生活の質の向上、社会活動の改善、介護者の負担軽減、排便障害に対処する社会的・医学的基盤形成により、高齢者の排便障害の改善、生活の質と尊厳の回復を目的とする。
研究方法
①直腸肛門機能及び排便機能評価法:直腸肛門内圧、Saline enematest・Fecoflowmetry連携法を主に用いる。
②高齢者の排便障害の疫学的データの収集
③特殊介護用トイレの市街地や公共スペースでの分布状況調査。
④排便補助具の作成
結果と考察
Fecoflowmetryでは、排便障害のない例は便意の自覚に伴い、短時間(数十秒以内)にまとめて50ml/sec前後の流量で排出され、慢性便秘症例では流量は低く、数回に分け、長時間にわたって排出される。また、失禁例では直腸内生理食塩水保持が困難で、排出は低流量である。Saline enema testは便の保持能、直腸収縮能、直腸と肛門の協調運動、便意の誘発閾値の観察に有用であった、さらに無刺激下で直腸圧と肛門管圧を連続的に観察することで、肛門管のUltra slow waveの有無も判断され、新たな病態の判定に有用であることが示された。洗腸療法補助具を作成し特許申請を行った。社会的には排便障害に配慮したトイレは新しい施設に散見されるのみ。本年度までの研究経過から、高齢者の排便障害の原因は多岐にわたり、直腸肛門のみならず運動器、中枢神経の障害や使用薬剤などの影響も示唆された。介護現場におけるマンパワー不足などにより、病態や尊厳よりもむしろ作業効率が優先されざるを得ない状況も発生する場合も存在することが確認された。

結論
Saline enema test, Fecoflowmetryによる排便機能評価は高齢者においても安全に実施可能であり、一般成人や小児で得られた知見に基づく病態評価が適用できる。本研究では排便障害への医学的アプローチによる分析が重要な柱ではあるが、加えて社会基盤作りのための調査の重要性も再認識されてきた。

公開日・更新日

公開日
2006-05-23
更新日
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