高齢者の運動機能低下評価法と回復運動療法開発研究

文献情報

文献番号
200500292A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の運動機能低下評価法と回復運動療法開発研究
課題番号
H17-長寿-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
越智 隆弘(日本整形外科学会)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学大学院医学研究科)
  • 戸山 芳昭(慶応義塾大学医学部)
  • 中村 利孝(産業医科大学整形外科学)
  • 松下 隆(帝京大学医学部)
  • 阪本 桂造(昭和大学医学部)
  • 安井 夏生(徳島大学医学部)
  • 里宇 明元(慶応義塾大学医学部)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 遠藤 直人(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
  • 星野 雄一(自治医科大学整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
29,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 加齢とともに進行する諸種運動器疾患に伴う機能低下を早期発見し、その進行予防、更に回復の為の諸対策内容を解析研究して、運動器疾患による自立喪失高齢者数を現在の20%減、全原因による自立喪失高齢者数を現在の5%減とする施策案策定が本研究の目的である。EMBに基づく評価指標を提案し、諸原因による運動器機能低下の早期診断指標および運動療法対策のガイドラインを作成、正確な一般的周知を図ることとする。
研究方法
本研究での対象疾患は、変形性関節症、腰痛症、廃用症候群、骨粗鬆症、転倒し易さ(運動器不安定症状)、大腿骨頸部骨折、頸肩痛とする。各対象疾患について Medlineおよび医学中央雑誌に掲載されている国内外の論文を対象に検索を行った。研究分担者ごとに専門チームを構成し批判的査読を行うことによりEvidence Levelが高くかつ地域保険事業策定に有用あるいは関連すると考えられる論文を抽出し、各疾患の発症または慢性化予防に必要な早期診断手法・指標について考察した。さらに高齢者の運動機能評価となりうる基礎的手法である動作解析、体幹筋活動と筋血流計測を行った。
結果と考察
各疾患について合計70編の論文が抽出された。その結果、高齢者の運動器機能低下の原因には環境因子に加え全身の身体機能や障害が大きく関与していること、さらに高齢者に対する持続的な運動療法は機能改善に有効な治療であることが確認された。高齢者を対象とした日常生活の動作解析により、下肢関節および脊椎の運動機能評価が可能であった。また体幹筋の活動と血流の関係から、動作により体幹筋の鬱血を生じる可能性が示唆された。以上の点を踏まえ、高齢者運動機能低下の予防および回復に必要な対策を提案し、地方保険事業案およびガイドライン作成の基礎を構築した。
結論
変形性関節症、腰痛症、転倒し易さ(運動器不安定症)、廃用症候群、頚肩痛、および骨粗髪症はいずれも高齢者の運動器機能低下の主因となる疾患あるいは状態として重要である。本研究において、 EBMの観点からこれらの疾患に対する早期診断指標として必要な事案を抽出した。高齢者の運動器機能低下の原因には環境因子に加え全身の身体機能や障害が大きく関与していること、さらに高齢者に対する持続的な運動療法は機能改善に有効な治療であることが確認された。
以上の点を踏まえ、高齢者運動機能低下の予防および回復に必要な対策を提案し、地方保険事業案およびガイドライン作成の基礎を構築した。

公開日・更新日

公開日
2006-05-29
更新日
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