生活機能向上にむけた介護予防サービスのあり方及び技術に関する研究―「廃用症候群(生活不活発病)モデル」を中心に

文献情報

文献番号
200500288A
報告書区分
総括
研究課題名
生活機能向上にむけた介護予防サービスのあり方及び技術に関する研究―「廃用症候群(生活不活発病)モデル」を中心に
課題番号
H17-長寿-043
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(国立長寿医療センター研究所 生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 上田 敏(日本障害者リハビリテーション協会)
  • 野中 博(日本医師会)
  • 二村 雄次(名古屋大学大学院医学系 機能構築医学専攻)
  • 大橋 謙策(日本社会事業大学)
  • 木村 隆次(日本介護支援専門員協会)
  • 田中 雅子(日本介護福祉士会)
  • 丹羽 真一(福島医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
29,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 「生活機能」維持・向上にむけた介護予防サービスのプログラムと具体的技術の確立のために、介護予防の主なターゲットである「廃用症候群(生活不活発病)モデル」に重点をおき、「水際作戦」(生活機能低下の早期発見・早期対応)の具体的内容を明確にする。
研究方法
○介護予防の水際作戦としての「生活機能相談窓口」の効果立証:生活機能相談窓口を開設し実施した自治体での効果をICFモデルで分析(N=210)
○生活機能向上にむけた介護予防を実施する自治体での介入前の生活機能の実態把握:対象;K市の代表的2地区悉皆調査:N=904 回収率92.0%、M市75歳以上悉皆調査:対象2,580人中1,806、回収続行中<郵送留め置き訪問回収>
○廃用症候群・生活機能についての認識調査:ⅰ)高齢者本人(N=2,710)、ⅱ)介入自治体における中核病院の職員(計472)、ⅲ)栄養士(N=347)
○その他3市で「水際作戦」に関するパイロットスタディを開始。
○災害を水際作戦ニーズの同時多発例と位置づけ、本年度の豪雪時の調査等を行なった。
結果と考察
○活動自立度の1段階以上向上が65.2%、同一自立度内の質的向上が30%、計95.2%で活動向上が達成された。参加の1段階以上の向上が61.9%で見られた。効果は短期間であらわれ、1回の訪問で効果(活動自立度と参加の向上)出現が56.6%、3回までで90.9%に達した(最高5回)。
○非要介護認定者で一応健康・自立とされる高齢者でも、活動制限のある者が少なくない。特に普遍的自立に達せず「環境限定型自立」にとどまる者が多く、それが前期高齢者よりも後期高齢者に、概して男性よりも女性に多いことが確認された。
○水際作戦の具体的な技術のポイントはⅰ)廃用症候群の類型判定、ⅱ)それにもとづく活動レベルへの特に実生活の場(訪問)での指導である。
○本人・家族・関連職種の生活機能及び廃用症候群についての認識は過渡期にあり、一層の啓発が必要。
結論
○「生活機能相談窓口」における「水際作戦」の介護予防としての有効性が証明された。
○一見健康な高齢者群にも潜在的な生活機能低下者が多数存在していることを念頭において、介護予防の制度設計と住民自身への普及啓発が必要である。
○介護予防に関する考え方の基盤である生活不活発病、生活機能について、現在既に共通の基盤が存在しているとはいえず、今後の意識的な取り組みが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-22
更新日
-