骨粗鬆症と骨折に対する予防対策の経済効果に関する研究

文献情報

文献番号
200500287A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症と骨折に対する予防対策の経済効果に関する研究
課題番号
H17-長寿-037
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
濃沼 信夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 国分正一(東北大学大学院医学系研究科 )
  • 永富良一(東北大学大学院医学系研究科 )
  • 出江紳一(東北大学大学院医学系研究科 )
  • 伊藤道哉(東北大学大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨粗鬆症と骨折対策は高齢者のQOLを高める健康問題であるとともに、多くの社会資源を必要とする医療財政問題でもあり、臨床面と経済面を統合した総合的評価を行い、より効果的な政策を優先的に推進することが重要となっている。本研究は、適切な運動習慣、食生活の改善、予防薬の服用等による骨粗鬆症に対する予防効果をQOLと医療経済の両面から明らかにし、選択すべき予防対策の医療費削減効果を算定し、高齢者の健康づくりや介護予防に関する政策決定や臨床判断の基礎資料をうることを目的とする。
研究方法
非骨折群(地域住民)と骨折群(入院患者)との生活習慣などを比較するフィールド調査を実施した。すなわち、食生活に関する横断調査として、仙台市近郊3地域の骨粗鬆症に関連する骨折の既往がない住民と、東北地方の中核的病院40施設に骨粗鬆症による骨折で入院中の患者を対象にしたアンケート調査(身長、体重、既往歴、転倒、服薬状況、EQ-5D、飲食品55項目の食習慣、栄養補助食品の摂取、運動習慣、睡眠時間、喫煙などの質問)を実施した。また、骨粗鬆症による骨折の医療費の調査は、DPC採用の3施設、出来高の3施設に入院中の患者のレセプトを対象にした。
結果と考察
平成18年2月中旬までに回答を得た地域住民2,076名(回収率60.9%)、入院患者55名(同100%)について、年齢調整等を行い比較検討した。両群に有意差がみられた項目は体重、閉経年齢、閉経後年数、脳卒中、骨粗鬆症の薬、血圧の薬、牛乳、納豆、パン、肉類、ごま油、海草、白米などである。骨粗鬆症に関連する骨折患者数は48,941人と推計され、その年間入院医療費は630億9,500万円(出来高払いによる算定)、退院後5年間に要する外来医療費は240億3,100万円と算出された。
結論
地域住民で骨粗鬆症の既往がない群と骨粗鬆症による骨折患者群とで有意差がみられた項目は、内外の報告とはやや異なるものであった。これは対象数が少ないことによる偏りの可能性が考えられる。次年度は、対象を拡大するとともに、性・年齢をペアマッチした骨折群と非骨折群との差異を明確にし、予防介入につながる因子を見いだす解析を行う。また、調査から見いだされた因子やレセプトから得られた医療費データを予防介入モデルに当てはめて費用効果分析を行い、予防戦略の有効性を検討する。

公開日・更新日

公開日
2006-05-02
更新日
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