老化に伴う神経変性疾患の長期縦断疫学研究;ALSについて

文献情報

文献番号
200500286A
報告書区分
総括
研究課題名
老化に伴う神経変性疾患の長期縦断疫学研究;ALSについて
課題番号
H17-長寿-031
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 道勇 学(名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科)
  • 犬飼 晃(国立病院機構東名古屋病院 神経内科)
  • 田中章景(名古屋大学大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①ALSの自然歴を前向きに明らかにする。永続的な人工呼吸器装着後の症例の予後と実態も検討する。②予後と進行に影響を及ぼす臨床的な因子を明らかにする。③予後と進行に影響を及ぼす遺伝的な因子を明らかにする。④発症に関与する因子を明らかにする。⑤ALSの臨床・遺伝情報を統合したバンクをつくる。
研究方法
前向きの自然歴として臨床所見、ALSFRS-R日本語版を用いた重症度変化および気管切開、死亡等のエンドポイントまでの時間を調査し、匿名化されたデータベースを構築した。遺伝子検体はDNAと株化細胞の形で保存し、臨床情報と匿名化された形でリンクできるようにした。実施施設は神経変性疾患に関する調査研究班(班長 葛原茂樹)と厚生労働省精神・神経疾患研究委託費による研究班(班長 湯浅龍彦)関連施設とした。長期観察を可能にするために、Clinical Research Coordinator (CRC) からの電話による予後把握を導入した。基礎情報収集のために、特定疾患治療研究事業におけるALS臨床調査個人票の解析を行った。CRCからのALSFRS-R電話調査については、医師の直接診察によるスコアとの整合性検証を行った。
結果と考察
研究計画は名古屋大学医学部倫理委員会を始め、6ヶ所の研究実施施設ですでに承認された。それらの施設からテストランを立ち上げ、すでに33例の登録を行った。ALS臨床調査個人票の解析から、ALSの臨床像および臨床経過は従来の病型分類の概念よりも多彩であり、あらためて捉えなおす必要があること、我が国は諸外国に比して重症例、特に人工呼吸器装着患者の割合が著しく高く、その臨床像を明らかにする重要性が示された。22名のALS患者に対するCRCからのALSFRS-R電話調査スコアと医師の直接診察によるスコアとの整合性検証では、総点の相関係数(Pearson)が0.965と良好であり、各項目についてのκ統計量も0.53から0.86と良好な一致を示した。 
結論
特定疾患申請用のALS臨床調査個人票の解析から、多彩なALSの臨床像を捉えなおす必要性が示された。匿名化された臨床データベースに、遺伝子検体ストックを連結できる形にすることで重要な研究リソースを構築できる。平成17年度は研究体制構築を行うとともに、電話によるALSFRS-R調査の信頼性を示した。

公開日・更新日

公開日
2006-05-15
更新日
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