要介護状態の評価における精神、知的及び多様な身体障害の状況の適切な反映手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500277A
報告書区分
総括
研究課題名
要介護状態の評価における精神、知的及び多様な身体障害の状況の適切な反映手法の開発に関する研究
課題番号
H16-長寿-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 英俊(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 安西信雄(国立精神・神経センター)
  • 坂本洋一(和洋女子大学家政学部)
  • 西村秋生(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多様な障害のある若年者に提供されているケアの時間を測定する大規模なタイムスタディを行う必要性がある。そこで本研究では、在宅の若年障害者を対象としたタイムスタディの方法論の検証と改善に向けての示唆を得ることを目的とした。
研究方法
対象は精神障害または知的障害を持ち、地域において居宅介護等支援事業(ホームヘルプ)等の福祉サービスを受けている在宅生活者およびグループホーム等の施設生活者である。調査方法は研究解析対象となるデータの収集は調査票(自記式調査票、面接調査票)とタイムスタディを行った。調査内容はタイムスタディ、基本情報調査票、タイムスタディの方法論の評価、調査時間外業務、心身の状況評価である。
結果と考察
デイケアや作業所など集団場面でのケアの記録では、本人に対して行われているのか、対象者を含む複数の参加者へのケアなのか、あるいは対象者を含まない他の参加者へのケアなのかといった判別が難しい場合があった。デイケアの調査では複数の職員と複数のサービス対象者がおり、職員の行動が記録されていてもその職員の専門が分からなかった場合が観察された。ケアコードの課題として小分類における優先順位は直接介助・間接介助・言葉による働きかけ・見守りの順番で上位のものが下位のものも内包していると考えていたが、実際にはケアが並列している(代行しながら見守っているなど)例もあった。
調査員のタイムスタディ評価では調査日程の決定までに時間を要した。調査員が入ることでヘルパーが緊張したり、対象者が通常よりもヘルパーに話しかけなかったり、調査対象となった時間帯のケアが通常と異なった例があった。タイムスタディ調査の記録方法は同時に並行して行われるケアの記述が難しいという結果を得た。
結論
精神・知的障害者の介護ニーズを正確に把握するために、ケア時間を測定するタイムスタディと、測定したケアを分類するケアコードについての方法論を検討するために、パイロットスタディとして地域に生活する障害者を対象に小規模なタイムスタディを行った。その結果、パイロットスタディは実施可能であったが、調査方法についていくつかの課題が見いだされた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200500277B
報告書区分
総合
研究課題名
要介護状態の評価における精神、知的及び多様な身体障害の状況の適切な反映手法の開発に関する研究
課題番号
H16-長寿-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 英俊(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 安西信雄(国立精神・神経センター)
  • 坂本洋一(和洋女子大学家政学部)
  • 西村秋生(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多様な障害に対応した客観的で科学的手法を用いた方法で要介護認定方法を開発する目的で本研究を行った。
研究方法
初年度介護保険の要介護認定で用いられている認定調査を多様な障害者に実施し、その課題を分析した。次年度は1分間タイムスタディの予備調査を行った。初めに支援費制度の施設給付に関して用いられている障害程度区分調査を実施、また精神障害者、知的障害者については、その他の評価指標等についても調査した。障害程度区分については、その内容から全体を「生活関連動作支援項目」「社会参加支援項目」の二つに分け、それぞれの合計点を尺度として使用した。その他の評価指標としては、GAF、BPRS、HONOS、ケアニーズ、介護支援専門員からみた要介護度、等を使用した。
結果と考察
身体障害者については、要介護認定における一次判定結果と、障害程度区分(生活関連動作支援項目、介護支援専門員からみた要介護度ともに高い相関を示した。ホームヘルプと身体障害者療護施設の利用者については、119人中117人が要介護状態ないしは要支援状態と判定された。知的障害者においては、要介護認定における一次判定結果と、障害程度区分(生活関連動作支援項目)、HONOS、介護支援専門員からみた要介護度との間に比較的高い相関が認められた。ホームヘルプの利用者については、30人中29人が要介護ないしは要支援状態と判定された。精神障害者においては 他の障害に比較して、要介護認定の一次判定結果と、その他の指標との間にあまり高い相関は得られなかった。ホームヘルプの利用者については、8人中2人が要介護ないしは要支援状態と判定された。障害者の要介護認定についてはよりよい認定方法のために、今後さらに検討していく必要がある。 次年度は要介護度の測定のために行われる1分間タイムスタディの大規模調査を行う上で必要な調査、条件を検討し、多くの課題を抽出した。
結論
初年度にはケアコードの見直し、新たな指標の検討を行ってきたが、その成果は障害者自立支援法の区分判定に活かされた。今年度においてはさらに在宅サービス利用者の介護時間の定量化のための、予備調査を各分担研究者間で共通の方法で行い、今後の調査の課題について分析、整理を行った。身体、知的、精神の各障害者の要介護認定についてはよりよい認定方法の開発のために、今後さらに検討していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500277C

成果

専門的・学術的観点からの成果
多様な障害に対応したケアコードの開発を行った。多様な障害に対応した要介護度の評価に関する予備的研究を行った。こうした研究はこれまでに例がない。また障害程度区分については、その内容から全体を「生活関連動作支援項目」「社会参加支援項目」の二つに分け、それぞれの合計点を尺度として使用した。その他GAF、BPRS、HONOS、ケアニーズ、介護支援専門員からみた要介護度、等を使用して、要介護の定量化に関する研究を行った。
臨床的観点からの成果
初年度介護保険の要介護認定で用いられている認定調査を多様な障害者に実施し、その課題を分析した。次年度は1分間タイムスタディの予備調査を行った。初めに支援費制度の施設給付に関して用いられている障害程度区分調査を実施、また精神障害者、知的障害者については、その他の評価指標等についても調査した。
ガイドライン等の開発
要介護認定の定量化に資する研究を行い、多様な障害に対応した新しい方法を開発した。
その他行政的観点からの成果
要介護認定方法の見直しに関して新しいケアコードの作成、1分間タイムスタディの予備的調査を行った。また本研究班の初年度の成果が障害者自立支援法の区分変更法に活かされ、平成18年4月より施策に応用されている。さらに要介護認定方法の改定のために資する研究を行った。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
なし
その他成果(施策への反映)
1件
新しいケアコードの作成、1分間タイムスタディの予備的調査を行った。この成果が障害者自立支援法の区分変更法に反映されている
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Joji Onishi,Hiroyuki Umegaki,Hidetoshi Endo et al
A comparison of depressive mood of older adults in a community, nursing homes, and a geriatric hospital: factor analysis of geriatric depression scale.
J Geriatr Psychiatry Neurol. , 19 (1) , 26-31  (2006)
原著論文2
Joji Onishi,Hiroyuki Umegaki,Hidetoshi Endo et al
Influence of behavioral and psychological symptoms of dementia(BPSD) and environment of care on caregivers’burden 
Archives of Gerontology and Geriatrics  , 41 , 159-168  (2005)
原著論文3
遠藤英俊
介護保険の改正と認知症ケアの新しい潮流
日本プライマリ・ケア学会誌 , 28 (3) , 161-168  (2005)
原著論文4
遠藤英俊
介護保険制度の問題点と見直しへの提言
精神神経学雑誌 , 106 (1) , 73-77  (2004)
原著論文5
遠藤英俊
高齢者の包括医療
日本老年医学会雑誌 , 41 , 375-377  (2004)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-