文献情報
文献番号
200500274A
報告書区分
総括
研究課題名
老人保健事業の推進のためのITを活用した地域健康づくりの推進方策と指導者教育法の確立に関する研究
課題番号
H16-長寿-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中村 正和(大阪府立健康科学センター 健康生活推進部)
研究分担者(所属機関)
- 足達 淑子(あだち健康行動学研究所)
- 嶋田 洋徳(早稲田大学人間科学学術院)
- 内藤 義彦(武庫川女子大学生活環境学部)
- 増居 志津子(大阪府立健康科学センター 健康生活推進部)
- 山口 幸生(福岡大学スポーツ科学部)
- 坂根 直樹(国立病院機構京都医療センター臨床研究センター)
- 大野 ゆう子(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
12,744,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、最新の情報通信技術(IT)を用いて、老人保健事業の健診の場を活用した地域の効果的な健康づくりの進め方について検討するとともに、その実践を可能にするための地域の保健専門職に対する教育プログラムの開発と評価を行い、方法論として確立することを目的とした。
研究方法
まず共同研究(研究1)として、昨年度開発したITプログラムを用いて、大阪府四條畷市(人口6万人、医師会委託個別健診)と兵庫県丹波市の市島地区(人口1万人、市全体の人口は7万人、集団健診)において、健診の事後指導として生活習慣改善のためのモデル事業を実施し、各市とも個別面接や教室、Web単独などのコースを設定して3ヵ月間の支援を行った。次に個別研究(研究2)として、禁煙、糖尿病予防、運動、ストレスマネジメント、体重コントロールの各テーマについて、教育学や行動科学の理論に基づいて、ITを活用した指導者教育プログラムの開発と評価を実施した。
結果と考察
研究1の結果、事業への参加率は四條畷市が3.0%と低かったが、丹波市市島地区では45.8%と高く、同地区の過去2年間の事後指導の参加率と比較すると、1.7-2.2倍高かった。このように集団検診においては、事後指導にITを導入することにより受診者の関心や興味を高め、事後指導の参加率が高まること、また、指導者にとっても、事後指導にIT 処理されたアドバイスシートを用いることにより、行動目標の設定や行動変容の具体的な支援に焦点をあてた支援が可能になることが確認された。3ヵ月間の支援がほぼ終了した丹波市市島地区の教室コース、個別面接コースの参加者の結果をみると、両コースとも事業の前後で運動習慣とカロリー摂取において改善傾向がみられ、教室コースでは脂肪と飲酒においても改善傾向がみられるとともに、体重とBMIが有意に減少した。次に研究2については、指導者教育プログラムとして、従来のワークショップ方式に加えて、eラーニングなどのITを活用した学習プログラムを取り入れた結果、講師と受講者双方の負担を減らしつつも、効果的かつ効率的な指導者養成が可能になることが明らかになった。
結論
今後本研究をさらに発展させるとともに、本研究で確立された地域健康づくりの方法論や指導者教育の方法を普及することにより、地域の健康づくり事業の効果的かつ効率的な推進につながるものと考える。
公開日・更新日
公開日
2006-04-12
更新日
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