エビデンスに基づく褥瘡治療薬の適正使用とその経済評価及び普及活動研究

文献情報

文献番号
200500271A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づく褥瘡治療薬の適正使用とその経済評価及び普及活動研究
課題番号
H16-長寿-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
秋葉 保次(社団法人日本薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
  • 福井 基成(財団法人田附興風会医学研究所北野病院)
  • 古田 勝経(国立長寿医療センター薬剤部)
  • 磯貝 善蔵(国立長寿医療センター先端医療部)
  • 近藤 喜博(医療法人清水会相生山病院薬剤部)
  • 野田 康弘(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
  • 串田 一樹(昭和薬科大学医療薬学教育研究施設)
  • 水野 正子(名古屋処方箋調剤薬局平針店)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,391,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
改訂版褥瘡治療薬マニュアル(本研究班が16年度に作成したもの)に掲載された褥瘡治療薬の選択方法を普及させること、および普及の基盤となる科学的根拠を確立することが目的である。
研究方法
1.薬剤選択が創の湿潤状態に適しているかどうか、水分計で測定した。
2.ブレンド薬剤の含有成分および基剤の安定性について試験した。ブレンド薬剤の水分吸水量および水分供給量を定量した。
3.bFGF製剤を取り込ませたドレッシング材からのbFGFの放出性について試験した。
4.収集された症例の内、浅い褥瘡についてブレンド薬剤と既存の薬剤の平均治療日数を算出した。これを基にし、薬剤費を試算した。 深い褥瘡の壊死組織除去について薬剤の有効性を主成分分析により解析した。
結果と考察
1.壊死組織が存在する褥瘡の創面水分量は平均54%であった。浅い褥瘡の上皮化が円滑に進行したときの水分量は平均41%であった。この水分量を維持する基剤の使用が治癒促進に関わっていることが示唆された。
2.本研究で提案するブレンド薬剤の含有成分および基剤はすべて安定あった。水分特性は薬剤のブレンドにより経験則通りに調製可能であった。しかし、ブレンド比が異なると成分および基剤が不安定化するものがあった。水分特性の変化も異なった。薬剤のブレンドには最適な比率が存在することが示唆された。
3.各種ドレッシング材にbFGFを噴霧し、試験管内での放出挙動を調べたところ、キチンドレッシング材の場合がもっとも放出が速く放出された。キチンドレッシング材にbFGFを噴霧しポケット内に挿入した症例では、良好な治療効果得られ、キチンドレッシング材とbFGFの併用の有用性が示唆された。
4.浅い褥瘡の治癒までの平均日数および薬剤費は、推奨薬(リフラップテラジアブレンド軟膏、12.4日、670円)、既存の薬剤(29.5日、6370円)、創傷被覆材(24.5日、5070円)。
浅い褥瘡の治療に推奨薬を用いた場合、治療の質が高められ、薬剤費は1/10近くまで軽減できることが示唆された。壊死組織の処置4週間の経過では、本マニュアルの方法はすべて全般的治癒を示す第1主成分得点が大きく変化し、総合的に優れた治療方法であることが示唆された。
結論
改訂版治療薬マニュアルに掲載の薬剤選択方法は、安定性・有効性・経済性から有用であることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200500271B
報告書区分
総合
研究課題名
エビデンスに基づく褥瘡治療薬の適正使用とその経済評価及び普及活動研究
課題番号
H16-長寿-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
秋葉 保次(社団法人日本薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
  • 福井 基成(財団法人田附興風会医学研究所北野病院)
  • 古田 勝経(国立長寿医療センター薬剤部)
  • 磯貝 善蔵(国立長寿医療センター先端医療部)
  • 近藤 喜博(医療法人清水会相生山病院薬剤部)
  • 野田 康弘(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
  • 串田 一樹(昭和薬科大学医療薬学教育研究施設)
  • 水野 正子(名古屋処方箋調剤薬局平針店)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
褥瘡の病態と水分量に基づいた適正な治療薬の選択法を普及させること、および普及の基盤となる科学的根拠を確立することが目的である。
研究方法
1.褥瘡の病期と創面の水分量と薬剤の性質から適切な薬剤選択の方法を検討した。
2.標準化薬剤の普及活動と症例収集、褥瘡に関わる薬剤師の支援体制の構築を試みた。
3.ブレンド薬剤の含有成分および基剤の安定性について試験した。ブレンド薬剤の水分吸水量および水分供給量を定量した。
4.収集された症例の内、浅い褥瘡についてブレンド薬剤と既存の薬剤の平均治療日数を算出し、薬剤費を試算した。 深い褥瘡の壊死組織除去における薬剤別有効性について主成分分析を行った。
結果と考察
1.標準薬剤として提案できるものを「改訂版褥瘡治療薬マニュアル」としてまとめた。外用薬の使い方によって創面は著明に変化することが臨床所見から明らかになり、基剤の性質を考慮した薬剤選択の重要性が示唆された。
2.本マニュアルをテキストとして薬剤師向けに計9回の褥瘡治療薬の適正使用のための研修会を行った。(約1900名参加)、研修参加者より167症例を収集した。メーリンググループによる薬局・病院・大学薬剤師の連携構築は、褥瘡治療に携わる薬剤師への支援として有効であった。この連携は、地域医療の多職種連携へも応用できることが示唆された。
3.本研究で提案するブレンド薬剤の含有成分および基剤はすべて安定あった。水分特性は薬剤のブレンドにより経験則通りに調製可能であった。しかし、ブレンド比が異なると成分および基剤が不安定化するものがあった。水分特性の変化も異なった。薬剤のブレンドには最適な比率が存在することが示唆された。
4.浅い褥瘡の治癒までの平均日数および薬剤費は、推奨薬(リフラップテラジアブレンド軟膏、12.4日、670円)、既存の薬剤(29.5日、6370円)、創傷被覆材(24.5日、5070円)。
浅い褥瘡の治療に推奨薬を用いた場合、治療の質が高められ、薬剤費は1/10近くまで軽減できることが示唆された。壊死組織の処置4週間の経過では、本マニュアルの方法はすべて主成分得点が大きく変化し、総合的に優れた治療方法であることが示唆された。

結論
改訂版褥瘡治療薬マニュアルに掲載した薬剤選択方法は、安定性・有効性・経済性から有用であることが明らかとなった。適正な薬剤使用の普及の基盤となる大学・病院・薬局間の薬剤師の連携を構築できた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500271C