がん新生血管を標的としたAll in oneデバイスによる革新的siRNAデリバリーシステムとがん治療法の開発

文献情報

文献番号
200500217A
報告書区分
総括
研究課題名
がん新生血管を標的としたAll in oneデバイスによる革新的siRNAデリバリーシステムとがん治療法の開発
課題番号
H17-ナノ-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石田 竜弘(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 知浩(静岡県立大学 大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん新生血管を構成する血管内皮細胞内にsiRNAを選択的に導入し、細胞の恒常性の維持に深く関与しているRISC(RNA-induced silencing complex)の発現を抑制させ、結果的に細胞死(アポトーシス)を誘導させることによりがん新生血管の破壊とそれに伴うがんの退縮を実現させうる革新的がん治療法の開発とそれを実現しうるデリバリーシステム(All in oneデバイス)の開発を実現させる。
研究方法
Ago2に対するsiRNAを細胞内に導入してAgo2のmRNAがknockdownされるか、RT-PCR法で評価した。また、Ago2のknockdownによる細胞死誘導の有無は、MTT assay法で確認した。各キャリアのRNAi効果は,①GFP安定発現HT-1080細胞にGFP に対するsiRNAを導入し、②Luciferase遺伝子をあらかじめ導入した細胞にluciferaseに対するsiRNAを時間差で導入し、それぞれ評価した。細胞内導入後のsiRNAの動態は、蛍光(FAM)ラベルsiRNAを共焦点蛍光顕微鏡下で観察して評価した。
結果と考察
RISC構成分子であるAgo2に対するsiRNAを細胞に導入し、Ago2タンパクの発現をknockdownすることで細胞死が誘導されることが確認された。このことから、本事業で提案した作業仮説を実証することができた。また、siRNAデリバリーに適した新規カチオニックリポソームおよび新規siRNA-カチオニックリポソーム複合体形成法を見出した。また、新規複合体形成法の利用により、遺伝子knockdown効率を既存の方法と比べて約5-10倍高めることができた。したがって、我々が見出した処方と方法を基盤として、in vivo応用可能なAll in oneデバイス開発可能である。細胞内動態解析の結果、エンドソーム・ライソゾームから細胞質へのsiRNAの放出過程が、RNAi効果の効率化をはかる上で律速過程であることが示唆された。さらに、膜型マトリクスメタロプロテアーゼ1型(MT1-MMP)に標的化したリポソームは血管内皮細胞に高い親和性を持ち、さらに細胞内に内在化されることを確認した。
結論
Ago2のknockdownによる細胞死と新生血管への選択的デリバリーシステムを融合させる事により、革新的がん治療法の開発が実現できる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
-