「骨髄、末梢血等を利用した効率的な造血細胞移植の運用・登録と臨床試験体制の確立並びにドナー及びレシピエントの安全確保とQOL向上に関する研究」

文献情報

文献番号
200500192A
報告書区分
総括
研究課題名
「骨髄、末梢血等を利用した効率的な造血細胞移植の運用・登録と臨床試験体制の確立並びにドナー及びレシピエントの安全確保とQOL向上に関する研究」
課題番号
H17-再生-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小寺 良尚(名古屋第一赤十字病院輸血部、骨髄移植センター)
研究分担者(所属機関)
  • 原田実根(九州大学大学院医学研究院血液内科学)
  • 岡本真一郎(慶應義塾大学医学部血液内科)
  • 一戸辰夫(京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学)
  • 山本一仁(名古屋大学大学院医学系研究科予防医学医学推計・判断学)
  • 森尾友宏(東京医科歯科大学大学院発達病態小児科学 細胞治療センター)
  • 赤塚美樹(愛知県がんセンター研究所腫瘍免疫部)
  • 池原 進(関西医科大学病理学第一講座)
  • 小川誠司(東京大学医学部附属病院血液内科学)
  • 森島泰雄(愛知県がんセンター中央病院血液・細胞療法部)
  • 笹月健彦(国立国際医療センター)
  • 猪子英俊(東海大学医学部分子生命医学系)
  • 屋部登志雄(東京都赤十字血液センター技術部一課研究一)
  • 村田 誠(名古屋大学医学部附属病院血液内科)
  • 秋山秀樹(東京都立駒込病院血液内科)
  • 土田昌宏(茨城県立こども病院小児血液学)
  • 加藤俊一(東海大学医学部基盤診療学系・造血幹細胞移植)
  • 谷本光音(岡山大学医学部血液腫瘍呼吸器内科)
  • 中尾康夫(札幌北楡病院麻酔科・麻酔科学)
  • 鎌田 薫(早稲田大学大学院法務研究科民法学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
造血幹細胞移植医療の急増する需要に対する供給率と移植成績の向上並びにドナーの更なる安全確保を目的とする。


研究方法
日本造血細胞移植学会、小児血液学会、骨髄移植推進財団、さい帯血バンクネットワークと共同で患者並びにドナーの登録システムを充実させ、新しい移植法等を健保適用医療にしてゆくために必要な臨床試験のあり方を研究する。
結果と考察
1)最近の年間造血幹細胞移植実施状況、即ち血縁造血幹細胞移植(骨髄・末梢血)1,000例、非血縁骨髄移植900例、臍帯血移植600例、登録患者・移植未実施例700例、計3,200例が年間需要であろうと推計した。2)骨髄バンクの非血縁者間骨髄移植症例、さい帯血バンクネットワークの臍帯血移植症例を、日本造血細胞移植学会全国データ集計事業と共通のCRFを用い、単一のデータセンターで集計・解析するシステム構築を完了した。これにより各種造血幹細胞移植の正確な相互比較が可能になろう。3)海外バンクからの移植は今後あまり増えないであろうが、一部稀なHLA型を有する患者にとっては依然必要性は存在すると思われる。4)血縁末梢血幹細胞ドナー5年間の有害事象の結果をまとめ、骨髄ドナー、末梢血ドナーの白血病発症率は差が無いことを示した。これは骨髄バンクドナーへ本法を適用するに当たって有用な情報になろう。5)母児間免疫寛容関係にあるドナーからのHLA2座以上不適合移植の結果は受容しうるものであり、サルベージドナーとしての位置を確立しつつある。6)幹細胞ドナー由来活性化CD4細胞による移植後ウイルス感染症の治療経験、7)同じくマイナー抗原特異的T細胞による移植後再発白血病治療に対する治療経験は細胞治療のモデルを形成しつつある。8)骨髄内骨髄移植法をヒトにおいて実施した。9)骨髄バンクドナー・レシピエントのペアリンパ球保存事業を再開し、HLA遺伝子学的適合度と移植成績の相関につき解析を再開した。10)血縁造血幹細胞ドナーを対象に調査を実施し、ドナーの権利が保護されないまま提供にいたることも少なくない様子が明らかになった。これを踏まえ血縁ドナー全件事前登録制度を、日本造血細胞移植学会を母体として発足させた。
結論
多様化した造血幹細胞移植療法は、ドナーの権利と安全擁護を更に強化しつつ新たな発展段階に入りつつある。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
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