次世代アデノウイルスベクターの開発基盤研究

文献情報

文献番号
200500159A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代アデノウイルスベクターの開発基盤研究
課題番号
H16-遺伝子-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
水口 裕之(独立行政法人医薬基盤研究所基盤研究部遺伝子導入制御プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 晋作(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、わが国における遺伝子治療の実用化と一層の進展に向けて、安全性が高く、機能面で優れた次世代遺伝子治療用ベクターの開発、及び関連する遺伝子導入・発現制御技術に関する基盤研究を行うことを目的とした。
研究方法
既存のベクターでは最も遺伝子導入効率が良いとされるアデノウイルス(Ad)ベクターの長所(高効率、高タイターのベクター調製が可能等)を生かしつつ、1)標的細胞指向性の制御、2)免疫反応の回避、3)目的遺伝子の発現抑制、4)異なった血清型に属する35型Adを基盤とした全く新規なベクターの開発、および5)これらを統合したAdベクターの開発を行い、遺伝子治療の対象疾病や標的細胞に適した遺伝子導入・発現制御技術の開発、さらにそれらの技術を利用した応用研究を行った。
結果と考察
1)ファイバー改変Adベクターの有用性を間葉系幹細胞、ES細胞(胚葉体を含む)等への遺伝子導入実験や癌免疫遺伝子治療応用研究で実証した。また、ターゲティングAdベクターのための基盤ベクターの開発に成功し、特性解析を行うと同時に、標的リガンドの同定を目的にしたファイバー部分を提示したファージ表面提示法を確立した。改変ファイバーを有した発現制御型Adベクターの開発に成功した。ヘキソンやpIXを改変したカプシド改変Adベクターの開発に成功した。2)治療用遺伝子を搭載したPEG-Adベクターを用いることで、全身投与において未修飾Adベクターよりも優れた腫瘍集積性を示すこと、さらに強力な抗腫瘍効果の誘導が可能であることを見いだした。また、PEG-Adベクターの遺伝子発現特性や体内動態に及ぼす標的化リガンド (RGDペプチドをPEG末端へ導入)やPEGの分子量の影響を明らかとした。3)脂肪細胞分化の抑制を指標にファイバー改変遺伝子発現抑制型(siRNA発現)Adベクターの有用性を実証した。cre-loxPの部位特異的組換えシステムを付与することで発現抑制のレベルを制御できるベクターの開発に成功した。4)35型Adベクターの特性解析のためのマウスモデルとしてヒトCD46発現トランスジェニックマウスを用い、全身投与後の35型Adベクターの遺伝子導入特性を詳細に検討した。35型Adベクターの感染に及ぼすCD46結合部位の検索を行った。以上のような基盤技術が我が国独自に開発されたことは、その技術の汎用性と応用面での広がりを考えると大きな意義を持つと予想される。
結論
次世代Adベクターの開発研究を進め、我が国独自の独創的で安全性の高い次世代遺伝子治療薬の基盤技術の確立に向けた十分な成果を得た。

公開日・更新日

公開日
2006-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
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