プリオン蛋白及びその関連遺伝子の構造・機能に基づく治療法の開発

文献情報

文献番号
200500142A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン蛋白及びその関連遺伝子の構造・機能に基づく治療法の開発
課題番号
H16-ゲノム-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
片峰 茂(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 堂浦 克美(東北大学大学院 医学研究科)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 桑田 一夫(岐阜大学 人獣感染防御研究センター)
  • 調 漸(長崎大学医学部歯学部附属病院 へき地病院再生支援・教育機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プリオン蛋白(PrP)の構造論的分子基盤に基づきプリオン病治療薬の開発を目指すとともに、プリオン関連宿主遺伝子・産物の同定と機能解明により治療のための新たな分子基盤を提案することを目的とする。
研究方法
(1) PrPCの球状構造のゆらぎを制御し、PrP*への変換を抑制することのできる化合物をin silicoでデータベースより検索し、生物活性を碓認する。
(2) プリオンの複製やプリオン病の病態に関与する宿主遺伝子(プリオン病関連遺伝子)の同定に向けて培養細胞のプリオン感受性の差に基づく網羅的遺伝子探索と、RNA干渉法によるアプローチを併用する。
(3) 種々のPrPとDpl変異体のTgマウスを作製し、そのDplの神経毒性に及ぼす効果、抗プリオン効果を検討する。
結果と考察
(1) データベーススクリーニングを行い,プリオンの構造変換を阻止する化合物,GN8を発見した。さらに,細胞型プリオン蛋白質と,GN8との結合実験をSPR等で行ったところ,その結合が確認できた。
(2) 264種類の標的遺伝子のRNA干渉による発現抑制により異常型プリオン蛋白の産生を阻害する12遺伝子を同定した。さらにDNAマイクロアレイ解析結果から、プリオン非感受性細胞より感受性細胞で発現が高い遺伝子を選抜し、RNA干渉を行うことにより4種の有力候補遺伝子を同定した。プリオン株間の干渉現象を発見した。さらに、感染細胞中にほとんどPrPresの蓄積を来たさないCJD由来弱毒株が強力に複数の強毒株の感染を干渉することが明らかとなった。
(3) PrPのa.a.25-50を欠損させたPrPdelNとOR領域をを欠損させたPrPdelOR、及びPrP1-124とDpl58-179の融合蛋白fuPrP-DplがいずれもDpl発現によるプルキンエ細胞死を有意に回復させることをマウス交配実験により碓認した。
結論
(1)正常型PrPの構造を安定化する新規化合物GN8を構造論的に予測し、in vitroとvivoで抗プリオン活性を碓認した。
(2) プリオン感染細胞における遺伝子発現の網羅的解析によりプリオン複製に関与する宿主遺伝子候補16種類を見出した。
(3) 弱毒プリオン株が強毒プリオン株感染を干渉することを発見した。
(4) Dplの異常型PrP様神経毒作用を正常型PrPのアミノ末端100アミノ酸が抑制しうることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2006-05-08
更新日
-