地域連携クリティカルパスモデルの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200501411A
報告書区分
総括
研究課題名
地域連携クリティカルパスモデルの開発に関する研究
課題番号
H17-特別-049
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
種田 憲一郎(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 加藤 尚子(国際医療福祉大学医療福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、理想的な地域連携クリティカルパスのモデル開発のために必要な医療連携に関しての情報収集と問題分析を行う。各地で展開している医療連携の実態を調査し連携促進の要件と問題点を抽出する。
研究方法
①全国で展開する地域医療連携の実態と進捗状況を把握するため連携を行っている医療施設や地域について報告された文献を検索収集・分類を行った。文献検索による情報収集に関しては、文献検索データベースを利用し03年から06年3月までの地域医療連携の141文献を収集、分析対象とした。
②収集した文献、インターネット情報も参照し医療連携が進んでいると思われる18地域においてフィールド調査を行った。連携に必要な要件を事前に抽出して作成したストラクチャードインタビューを実施した。フィールド調査については調査を行った。地域連携パスの実施状況、地域情報ネットワークの普及状況、連携実務を担う医療施設の連携室機能等について、情報収集した。
③調査結果を踏まえ医療連携の進捗状況に影響する地域特性、医療資源について、連携のパターン化を試みた。
結果と考察
医療連携のパターンは、地域特性、対象疾病、IT技術や連携パス等の情報交換ツールの組み合わせによって想定できる。地域特性に関して、地域の医療資源が欠乏している医療過疎地から比較的豊かな都市部まで4つの類型がある。「郡部」の0型で医療資源が極端に少ない地域の場合、1つの強力な地域中核病院を持ついわゆる「城下町型」Ⅰ型の資源構造の場合、地方の「中核都市」Ⅱ型で県庁所在地等に見られるパターン、「大都市」ならびに大都市周辺部分のⅢ型で、豊富な医療資源があり自由なアクセスがある場合である。連携に適したあるいは求められている疾病としては、糖尿病(メタボリックシンドローム)、虚血性心疾患、脳卒中、がんが挙げられる。情報交換ツールとしての地域連携パスや地域情報ネットワークについては、近年特に成功事例が報告されるようになったが、実地に調査をしてみるとほとんどが試行段階で地域に定着し実用化されたものは僅かだった。
結論
機能分担と連携の必要性は医療提供者一同が認めるものの、利害が対立する複雑な構造になっている故に地域全体の合意を形成することが難しい。連携促進には当事者間の信頼感の醸成や情報交換の仕組みづくりが重要だが、カリスマ的な個人や特定施設のリーダーシップに期待する従来型の方法では、ネットワークの拡大は難しい。行政や大学病院の支援、自然発生的な地域活動をハブ的に結びつける動きが、今後注目される。

公開日・更新日

公開日
2006-10-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501411C