国民一人当たりの生涯医療費の推計に関する研究

文献情報

文献番号
200501394A
報告書区分
総括
研究課題名
国民一人当たりの生涯医療費の推計に関する研究
課題番号
H17-特別-047
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 一郎(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 正英(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療費の国民負担を、国民一人一人の立場から評価する方法の一つとして、生涯医療費の推計がある。高齢化の進展に伴って国民の医療費負担の増大がいわれており、近年のこの推移を具体的に明らかにし、今後の種々の行政施策に資することを目的とした。
研究方法
平成10年から16年の生命表と年齢階級別一人当り国民医療費より、年齢毎の生涯医療費を算出した。
男女別の年齢階級別医療費データは公表されていないので、国民医療費に男女差は無いものと仮定した。また、年齢別一人当たり国民医療費は、年齢区分(5歳間隔)の中で一様であると仮定した。
男女を合わせた一人当たり医療費の推計は、男女別に計算した生涯医療費を人口構成の男女比により加重平均した。
さらに将来の医療費を現在の価値に置き換えるため、割引き率を3%と5%とした推計も行った。
結果と考察
生涯医療費は平成11年度がもっとも高額であり、その以外の年では大きな差がなかった。平成11年度とそれ以外の年では生涯医療費は男で約100万円、女で約200万円の差があった。
平成15年度の一人当たり生涯医療費(零才)は、男性1949万円、女性2468万、総人口にして2201万であった。
割引を行った場合は、平成15年の一人当たりの生涯医療費は3%では正味現在価値で約500万円、5%で約270万円であり、男女差はそれぞれ約100万円、40万円であった。医療費のピークの年齢は3%の場合65歳付近で約1000万円、5%の場合は70歳付近で約800万円であった。
急激な寿命の延長、高齢化にも拘らず、生涯医療費には平成10年から16年においては、平成11年を除くとそれほど大きな変化が見られないことがわかった。生涯医療費自体はこの数年概ね安定していることから、国民の医療費負担が急激に増大しているわけではない。 ただし、平成11年は平成10年と平成12年と比較すると8%前後の増減という大きな変動幅が観察され、これは平成12年には介護保険制度が導入されたことによりと考えられる。
推計結果では非常に大きな男女差が発生しており、この妥当性の検証が必要である。
結論
平成11年から12年の間に国民一人当り生涯医療費は大きく減少し、その後、全年齢層にわたって一斉に大きく増える様子はなく推移している。医療費のピークの年齢は割引率が3%の場合65歳付近で、5%の場合は70歳付近であった。年度間の差はほとんどなかった

公開日・更新日

公開日
2006-07-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501394C