AAVベクターを用いた進行期パーキンソン病遺伝子治療の臨床研究

文献情報

文献番号
200500117A
報告書区分
総括
研究課題名
AAVベクターを用いた進行期パーキンソン病遺伝子治療の臨床研究
課題番号
H17-特別-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中野 今治(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤敬也(自治医科大学医学部)
  • 加藤正哉(自治医科大学医学部)
  • 佐藤俊彦(宇都宮セントラルクリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
進行したパーキンソン病(パ病)には有効な治療法がなく、新しい治療法の開発が望まれている.本研究では、そのような治療法として、病原性を有さないAAV ベクターを用いた遺伝子治療の臨床研究を目指す.さらに本ベクターを用いてパ病サルでの前臨床研究を継続し、安全性や有効性をさらに検証する.
研究方法
線条体でのドパミン合成に関わるAADCの遺伝子を組み込んだAAVベクターをパ病患者の被殻に定位脳手術的に導入し、L-DOPAを併用することで線条体でのドパミン合成を図る.本法ではL-DOPAの服用量調節によりドパミン産生量をコントロールでき、ジスキネジアの阻止が可能となる.この戦略に基づいたパ病遺伝子治療の実施に向けてプロトコールの作成・改訂を行い、IRBでの承認を受け、関係省庁での審議を経て臨床研究の承認を目指す.Avigen社と自治医大間で臨床研究契約を取り交わし、同社から自治医大へのGMPレベルのベクター供給を取り付ける.また、FMTを用いたPET検査システムを確立し、診断の精度向上と導入遺伝子の経時的観察を行う.AAVベクターの線条体注入に伴う免疫反応の程度や、注入ベクターの体内動態についてパ病サルにおいて検討する.
結果と考察
我々が計画した「AADC発現AAVベクター線条体内投与による進行期パーキンソン病遺伝子治療の臨床研究」は、2005年5月にIRBの承認を受けた.厚労省との事前相談、厚生科学審議会科学技術部会を経て、2006年3月に第1回パ病遺伝子治療作業委員会が開催され、申請者らが出席して答申した.今後、本作業委員会からのコメント・指示に迅速真摯に対応して速やかな承認が得られるように努める.2005年8月には上記の臨床研究契約が締結した.また、PET検査で使用する6-18FMT合成のプロセス検証と詳細条件を決定でき、その製造が可能となり、導入遺伝子発現の経時的観察が可能となった.パ病サル線条体へのAAVベクター導入では、本ベクターに対する抗体は惹起されず、臨床研究においても必要に応じて再導入できる可能性が示された.
結論
我々の申請したパ病遺伝子治療臨床研究の審議が厚労省の作業委員会で開始された.FMTの合成系が確立し、本臨床研究におけるPET検査が可能となった.AAVベクターの線条体導入では抗体は産生されにくいことが予想された.

公開日・更新日

公開日
2006-10-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500117C