生物テロに向けたシミュレーションの構築と介入効果の検討に関する研究

文献情報

文献番号
200500084A
報告書区分
総括
研究課題名
生物テロに向けたシミュレーションの構築と介入効果の検討に関する研究
課題番号
H17-国際-102
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大日 康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 出口 弘(東京工業大学大学院総合理工学研究科)
  • 七丈 直弘(東京大学大学院情報学環)
  • 内山 巌雄(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻環境衛生学)
  • 安川 文朗(同志社大学技術・企業・国際競争力研究センター)
  • 金谷 泰宏(防衛医科大学校防衛医学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 国際健康危機管理ネットワーク強化研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
天然痘を用いたバイオテロに対する初期対応行動計画である天然痘対応指針を
individual based model(ibm)を用いて評価する。また、そのための基礎的な資料と
して、都市交通の実体や、自治体、医療関係者の状況を明らかにする。
研究方法
具体的な天然痘対策におけるibmでは人口1万人の保健所管轄を想定
し、そこのショッピングモールにおいて、天然痘の暴露を受けたと想定する。初期暴
露人数、対応開始のタイミングあるいは動員される要員数毎に、追跡接種と集団接種
の成績を比較する。また、ibmの現実性をあげるために国土交通省の大都市交通セン
サスを用いて、その構造をネットワーク的な視点からも解析を実施する。
結果と考察
結果:天然痘におけるモデルでは、初発曝露者数が増加すると、要員が少ない場合、
追跡接種の効果が急激に低下し、要員が多い場合、追跡接種の効果は大きくは低下し
ない。他方で、要員数が十分に大きくてもそれに応じて患者数が抑制されるわけでは
ないこと、集団接種の効果は初発曝露者数が増加しても、平均的には変化しないこと
が明らかにされた。アンケート調査においては、天然痘対応マニュアルを整備してい
る保健所は74%とやや低かった。
考察:バイオテロ対策における対策についてibmを用いて評価したところ、追跡接種
は集団接種よりも効果的であるのは、初発曝露者数が要員数+10-20名程度まで
で、それ以上に初発曝露者数が増えると追跡接種は事実上効果的ではない。この基準
で、投入する要員数を決定することが重要となる。そのためには、迅速に曝露量を推
定する統計学モデルが必要不可欠となる。
結論
ibmがバイオテロ対策の評価にとって有益であり、対策立案の基礎的なツール
として利用されるべきであると結論づけられる。また、都市交通センサスのデータを
用いることが有効であることが確認された。その情報をibmに反映させていくことが
重要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
-