地域住民の力を活用した地域福祉活動の展開と評価

文献情報

文献番号
200500051A
報告書区分
総括
研究課題名
地域住民の力を活用した地域福祉活動の展開と評価
課題番号
H17-政策-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
杉澤 秀博(桜美林大学大学院国際学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 杉原 陽子(東京都老人総合研究所)
  • 石川 久展(ルーテル学院大学)
  • 中谷 陽明(日本女子大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、「地域組織、中でも民生委員を活用した閉じこもり高齢者の把握」「専門家による査定」「訪問・傾聴ボランティアの養成と派遣の実施」という包括的なモデル事業を実施し、その効果や問題点を評価することを目的とした。今年度は、①モデル事業の立ち上げ、および②事業のアウトカム評価のためのベースライン調査(地域住民とボランティアの担い手)を行なった。
研究方法
1)モデル地区の設定:自治体の社会福祉協議会(以下、社協)を連携相手とし、千葉県我孫子市の「我孫子北地区」をモデル地区に設定。社協との連携は、「把握」のための地域資源として民生委員の協力が得られやすい、「専門家による査定」の体制が整備しやすい介護保険事業を展開、「介入」の資源としてボランティアとかかわりがある、との理由からである。2)ベースライン調査:①地域高齢者:モデル地区と対照地区(モデル地区を除く全市)の70歳以上の住民に対し、郵送による調査を実施。対象者数(要介護認定者は除外)はモデル地区896人、対照地区987人。抽出は住民基本台帳から無作為に行った。回収率はモデル地区が80.1%、対照地区が75.7%。②ボランティアの担い手:ボランティア養成講座の参加者60人全員を対象に、講座の初回時に留置調査を実施。60名全員から回答を得た。
結果と考察
1)モデル地区の事業展開:「把握」「査定」の準備、および「ボランティアの養成」を完了した。2)地域支援事業の課題:ベースライン調査から、次のような知見がえられた。対照地区の分析の結果、①閉じこもりの割合が11.4%、特定高齢者(候補者)の割合が7.6%であったこと、②特定高齢者・閉じこもり高齢者とも、基本健診と民生委員ルートで把握可能な割合は各40%と10%程度であり、他方主治医のルートは各70%と、把握のためには主治医の協力が重要であること、③特定高齢者については、通所系のサービス(「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」)へのニーズが低く、さらに、通所系のサービスニーズが単独で存在し、訪問系(「閉じこもり」「うつ」「認知症」の予防・支援)のサービスニーズと重複していない人の割合は、特定高齢者中10%程度であり、通所中心のサービスメニューではニーズに十分対応できないこと、が明らかとなった。
結論
今年度は、モデル事業の立ち上げ、およびベースライン調査を完了し、さらに地域支援事業に対していくつかの課題を指摘した。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
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