医薬品・医療機器を対象とした社会経済評価ガイドライン策定のためのエキスパート・コンセンサス形成と提言に関する研究

文献情報

文献番号
200500050A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品・医療機器を対象とした社会経済評価ガイドライン策定のためのエキスパート・コンセンサス形成と提言に関する研究
課題番号
H17-政策-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鎌江 伊三夫(神戸大学 都市安全研究センター リスクマネージメント大研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 白神 誠(日本大学 薬学部 薬事管理学)
  • 福田 敬(東京大学大学院 薬学系研究科 医薬経済学講座)
  • 池田 俊也(慶應大学 医学部 医療政策・管理学教室)
  • 坂巻 弘之((財)医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 医療経済学)
  • 柳沢 振一郎(神戸大学都市安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、近年、国際的に制定の動向が加速されているPEガイドラインの我が国での策定へ向け、参画専門研究者間の共通認識コンセンサスを確立し、エキスパート集団としての具体案を示すと共に、その法制化への国際的潮流に即応した緊急提言を行うことである。
研究方法
 初年度は、先ず参画する研究者全員による討議を通じ、PEガイドライン化に関する先行研究の実績と問題点を検討した。また、新しい国際的動向について検討し、選択された対象国の現地調査を必要に応じて実施した。次に、新薬申請時の第4のハードルとして費用効果エビデンスが必須項目化された場合の我が国の医療制度・大学・企業での研究体制等に及ぼす影響について優先事項を整理し、優先度の高い問題の具体的応用事例についての研究を行った。さらに、PEガイドライン作成に際し、現在のDPC普及の中で、医療機関の視点をいれる問題として、全国の薬剤部へのアンケート調査を行った。
結果と考察
 先行している欧米およびアジア各国のガイドラインの検討を行った結果、我が国のPEガイドライン策定に対するハードルを明確にすることができた。また、PEガイドラインのコンセンサス形成には企業側の意見も重要となるため、開かれた議論の場として、平成17年9月のISPOR日本部会設立に研究班メンバーによる積極的関与を行った。日本部会設立のシンポジウムには多くの企業関係者や研究者の参加があり、今後、コンセンサス形成の場としての意義を持つと同時に、ガイドライン策定後も経済評価分析の情報交換の場としての活用も大いに期待される。
 PEガイドライン制定に関連する諸問題を検討するにあたっては、常に、医薬品・医療機器の第4ハードル問題(許認可要件としての費用効果性のエビデンスの必要性)としての視点が必要である。しかし、初年度の海外調査において、欧米各国では第4ハードル問題の次に第5ハードル問題(affordabilityとサービスへのインパクト)が問題視される動向が見出された。従って、この第5ハードル問題を、現行の薬価算定ルールにどのようにして薬剤経済学的に組み込むのかも今後、重要な視点となると総括された。
結論
 ガイドライン化は、近年の世界の動向に鑑み、我が国において根拠に基づく医療を実現するための重要なステップとなることを確認するとともに、備えるべき環境条件を初年度の研究として明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-14
更新日
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