家計の効用・行動の視点を踏まえた公的年金の役割及び改革に関する実証的研究

文献情報

文献番号
200500046A
報告書区分
総括
研究課題名
家計の効用・行動の視点を踏まえた公的年金の役割及び改革に関する実証的研究
課題番号
H16-政策-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 年金総合研究センター(財団法人年金総合研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 亘(東京学芸大学教育学部)
  • ホリオカ、チャールズ・ユウジ(大阪大学社会経済研究所)
  • 安部 由起子(北海道大学大学院経済学研究科)
  • 福山 圭一(財団法人 年金総合研究センター)
  • 溝端 幹雄(財団法人 年金総合研究センター)
  • 藤本 征爾(財団法人 年金総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,852,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、年金に関する現状のマイナス面に偏った議論に対し、年金の効用や役割を評価した上で、効用と負担の両面に配慮した制度改善及び各種経済政策等のための基礎イメージを提供することを目的とする。さらに、年金改革に対する家計行動の変化を定量化することにより、改革の副次的効果を織り込んだ包括的な年金改革の立案に資することを目的とする。
研究方法
 2年度目は家計の貯蓄バランスや資産選択に対する影響の実証分析を重点的に実施し、併せて年金受給者向けのアンケートも行った。また、高齢者などの労働供給行動の実証分析を行う他、地域経済に対する影響についても1年度目の試算の将来推計や、岩手県の事例をもとに公的年金給付水準をめぐる市町村格差の実態を考察した。
結果と考察
 第一に、年金受給者へのアンケート結果より、年金知識度が高いほど社会保障制度の将来変更に対する不安感は低いことがわかった。第二に、先行研究よりも値は小さいものの、年金と貯蓄率の間に負の代替関係が、また、公的年金に資産代替効果や退職促進効果があることが確認された。第三に、公的年金と資産選択については全体としてはっきりとした関係が見出せなかったが、両者の補完・代替関係には、世代(コホート)間で反応の差異があることがわかった。第四に、近年高齢雇用労働者の中で短時間雇用や有期雇用が増加しており、有期雇用は大企業や官公営の事業所で多いこと、有期雇用パート労働者の被用者社会保険への加入が妨げられるわけではないこと、などがわかった。最後に、年金給付額及び年金保険料徴収額の対県民所得比や公的年金の経済効果における地域間の相違は今後も続くが、後者は高齢者人口が相対的に増える地域を中心に拡大傾向にあることなどが分かった。
結論
 年金を中心とした社会保障の啓蒙活動により信頼感や理解を得られる余地がかなり大きいこと、給付額を引き下げる年金改革には景気への影響に留意する必要があること、公的年金制度が人々の貯蓄や退職行動に与える影響を考慮する必要があること、世代間で年金と金融資産の代替・補完関係の捉え方が異なること、年金受給が危険資産保有の需要を高めており、日本では今後も、高齢者の危険資産保有率が高い状況は続く可能性が高いことが示唆された。また、今後の急速な高齢化が進む中で、地域の人口構造や産業構造の違いを反映すれば、公的年金による経済的影響は全国で一様というわけではないことも示唆された。これらの一連の研究ではミクロ的実証研究の重要性や積極的に意識調査等の国民の声を聞く必要性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200500046B
報告書区分
総合
研究課題名
家計の効用・行動の視点を踏まえた公的年金の役割及び改革に関する実証的研究
課題番号
H16-政策-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 年金総合研究センター(財団法人年金総合研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 亘(東京学芸大学教育学部)
  • ホリオカ、チャールズ・ユウジ(大阪大学社会経済研究所)
  • 安部 由起子(北海道大学大学院経済学研究科)
  • 中里 幸聖(財団法人 年金総合研究センター)
  • 藤本 征爾(財団法人 年金総合研究センター)
  • 福山 圭一(財団法人 年金総合研究センター)
  • 溝端 幹雄(財団法人 年金総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、年金に関する現状のマイナス面に偏った議論に対し、年金の効用や役割を評価した上で、効用と負担の両面に配慮した制度改善及び各種経済政策等のための基礎イメージを提供することを目的とする。さらに、年金改革に対する家計行動の変化を定量化することにより、改革の副次的効果を織り込んだ包括的な年金改革の立案に資することを目的とする。
研究方法
 初年度は、個票データ及び産業連関表による分析、現役世代へのアンケート調査を企画・実施した。2年度目は家計の貯蓄バランスや資産選択に対する影響の実証分析を重点的に実施し、併せて年金受給者向けのアンケートも行った。また、高齢者などの労働供給行動の実証分析を行う他、地域経済に対する影響についても1年度目の試算の将来推計や、岩手県の事例をもとに公的年金給付水準をめぐる市町村格差の実態を考察した。
結果と考察
 第一に、アンケート結果より、年金知識度が高いほど社会保障制度の将来変更に対する不安感は低いことがわかった。第二に、先行研究よりも値は小さいものの、年金と貯蓄率の間に負の代替関係が、また、公的年金に資産代替効果や退職促進効果があることが確認された。第三に、公的年金と資産選択については全体としてはっきりとした関係が見出せなかったが、両者の補完・代替関係には、世代(コホート)間で反応の差異があることがわかった。第四に、近年高齢雇用労働者の中で短時間雇用や有期雇用が増加しており、有期雇用は大企業や官公営の事業所で多いこと、有期雇用パート労働者の被用者社会保険への加入が妨げられるわけではないこと、などがわかった。最後に、年金給付額及び年金保険料徴収額の対県民所得比や公的年金の経済効果における地域間の相違は今後も続くが、後者は高齢者人口が相対的に増える地域を中心に拡大傾向にあることなどが分かった。
結論
 年金を中心とした社会保障の啓蒙活動により信頼感や理解を得られる余地がかなり大きいこと、給付額を引き下げる年金改革には景気への影響に留意する必要があること、公的年金制度が人々の貯蓄や退職行動に与える影響を考慮する必要があること、世代間で年金と金融資産の代替・補完関係の捉え方が異なること、年金受給が危険資産保有の需要を高めており、日本では今後も、高齢者の危険資産保有率が高い状況は続く可能性が高いことが示唆された。また、今後の急速な高齢化が進む中で、地域の人口構造や産業構造の違いを反映すれば、公的年金による経済的影響は全国で一様というわけではないことも示唆された。これらの一連の研究ではミクロ的実証研究の重要性や積極的に意識調査等の国民の声を聞く必要性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500046C

成果

専門的・学術的観点からの成果
現状なし。
臨床的観点からの成果
現状なし。
ガイドライン等の開発
現状なし。
その他行政的観点からの成果
現状なし。
その他のインパクト
現状なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-