人口減少に対応した国際人口移動政策と社会保障政策の連携に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200500043A
報告書区分
総括
研究課題名
人口減少に対応した国際人口移動政策と社会保障政策の連携に関する国際比較研究
課題番号
H16-政策-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
千年 よしみ(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部)
研究分担者(所属機関)
  • 小島 宏(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部)
  • 勝又 幸子(国立社会保障・人口問題研究所企画部)
  • 井口 泰(関西学院大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、先進諸国等における国際人口移動と移動者の社会的統合の実態・政策、それに伴って必要となる社会保障政策との連携に関する分析を行い、各国の実態・政策の比較検討を行うことにより、人口減少に直面するわが国における国際人口移動政策と社会保障政策の連携の可能性を検討することを目的とする。
研究方法
本研究の主要な研究方法としては①各種文献・ヒアリングに基づく理論分析、②マクロデータの実証分析、③既存のミクロデータの実証分析、④ミクロデータの収集と分析、⑤研究会がある。本年度は資料収集・分析・研究会を継続するとともに、研究会の助言も踏まえ、「磐田市外国人市民実態調査(2005年)」を実施し、調査報告書を作成し、予備的分析を行った。研究会では磐田市で現地調査を実施し、中間報告をとりまとめた。また、欧州における国際移動者の社会的統合と登録に関する文献研究を行った。さらに、実証分析では「磐田市外国人生活実態調査(2004年)」等の詳細な分析を行い、分析結果を学会・学会誌等で発表した。
結果と考察
磐田市調査結果、各種データの実証分析、文献研究、現地調査等からわが国では国際移動者の社会的統合が必ずしも進んでいないことが再確認されたが、その背景として総合的な国際人口移動政策がなく、社会保障制度に不備があることが浮き彫りになった。本年度の研究で提案された対策としては、①正規に就労が可能な在留資格を持つ外国人に関しては、健康保険等の職権による被保険者資格の取得や保険料徴収の徹底と年金通算協定の締結促進(次善の策として、脱退一時金制度の充実)、②不法残留者等の医療に関しては、既存の救急救命センター運営の補助事業の拡充や、NPOの活用、③事業主や外国人労働者に対する法の周知や情報提供の充実、④外国人による長期的な生活設計への誘導、⑤社会・労働保険加入や労働条件に関する事業主の社会的責任(CSR)の取引における確認、といったものがある。
結論
わが国でもついに人口減少が始まり、一部の先進諸国と同様、より直接的な人口減少対策としての国際人口移動政策とその社会保障政策との連携の重要性が増大している。わが国への円滑な国際人口移動を図るためには、国際移動者の社会的統合が不可欠であり、そのために医療保険、労働保険、年金等に関する社会保障政策が果たしうる役割を再検討する必要があろう。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
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