医薬品の価格設定に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200500040A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の価格設定に関する国際比較研究
課題番号
H16-政策-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(日本大学薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 亀井美和子(日本大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の現行薬価制度では、規格間調整という形で含量に応じた価格設定が行われ、含量の差が大きく薬価に影響する仕組みとなっている。一方海外では、含量が異なっても同一価格であるケースやほとんど価格差がないケース(いわゆるフラットプライス)が見られる。
本研究は海外のフラットプライスについての実態、政策的背景、医薬品使用に与える影響等を調査し、日本の薬価設定方法検討のための参考資料を提供することを目的とする。
研究方法
本研究では、海外薬価実態調査、海外薬価当局のヒアリング、日本へのフラットプライス導入可能性の検討を実施した。
海外薬価実態調査では、平成16年度に行った、欧米のフラットプライスの実態調査に引き続き、日本における薬価との対比、海外の製品でフラットプライスが採用された経緯等について調査した。
海外薬価当局のヒアリングでは、欧州3カ国の薬価当局を訪問し、海外薬価実態調査の結果を踏まえ、各国におけるフラットプライス採用の背景、政策的に見た課題、医薬品の使用に与える影響等についてヒアリングを行った。
日本におけるフラットプライス導入可能性の検討では、フラットプライスを導入した場合の医療費への影響等について検討した。
結果と考察
フラットプライスは、種々の行政の薬価設定への関与がある欧州に比べ、市場での自由な価格設定が行われている米国で最も多い。全般的には循環器疾患用剤や精神神経疾患用剤で多くみられるが、国によって、フラットプライスの多く含まれる薬効分類には違いがある。
欧州の薬価当局のヒアリングによれば、フラットプライスが政策的な意図で採用されている例はなく、薬価当局との調整、製薬企業の国際的な営業戦略などを前提として、製品毎にフラットプライスが採用されている。
結論
フラットプライス導入の効果は、患者負担の均一化や、医療費の抑制効果などが想定される。しかし、医療費の抑制効果については製薬企業の含量の設定方法に依存するため、必ずしも期待できない。
日本では少量の単位で処方が行われているなど前提となる条件にも違いがあり、フラットプライス導入に関しては、こうした条件の違いについて十分把握したうえで検討を行うことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200500040B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品の価格設定に関する国際比較研究
課題番号
H16-政策-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(日本大学薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 亀井美和子(日本大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の現行薬価制度では、規格間調整という形で含量に応じた価格設定が行われ、含量の差が大きく薬価に影響する仕組となっている。一方海外では、含量が異なっても同一価格であるケースやほとんど価格差がないケース(いわゆるフラットプライス)が見られる。
本研究は、海外のフラットプライスについての実態、政策的背景、医薬品使用に与える影響等を調査し、日本の薬価設定方法検討のための参考資料を提供することを目的とする。
研究方法
本研究では、海外薬価実態調査、国内製薬企業のヒアリング、海外薬価当局のヒアリング、日本へのフラットプライス導入可能性の検討を実施した。
海外薬価実態調査では、欧米4カ国におけるフラットプライスの現状を調べ、各国の価格設定方法の差異や医薬品の特性等による違い、フラットプライスが採用された経緯等をとらえた。
国内製薬企業のヒアリングでは、フラットプライスを日本で導入した場合想定される有効性、課題等について、国内主要製薬企業に対するヒアリングを行った。
海外薬価当局のヒアリングでは、欧州3カ国の薬価当局を訪問し、海外薬価実態調査の結果を踏まえ、各国におけるフラットプライス採用の背景、政策的に見た課題、医薬品の使用に与える影響等についてヒアリングを行った。
日本におけるフラットプライス導入可能性の検討では、フラットプライスを導入した場合の医療費への影響等について検討した。
結果と考察
フラットプライスは、種々の行政の薬価設定への関与がある欧州に比べ、市場での自由な価格設定が行われている米国で最も多い。全般的には循環器疾患用剤や精神神経疾患用剤で多くみられるが、国によって、フラットプライスの多く含まれる薬効分類には違いがある。
欧州の薬価当局のヒアリングによれば、フラットプライスが政策的な意図で採用されている例はなく、薬価当局との調整、製薬企業の国際的な営業戦略などを前提として、製品毎にフラットプライスが採用されている。
結論
フラットプライス導入の効果は、患者負担の均一化や、医療費の抑制効果などが想定される。しかし、医療費の抑制効果については製薬企業の含量の設定方法に依存するため、必ずしも期待できない。
日本では少量の単位で処方が行われているなど前提となる条件にも違いがあり、フラットプライス導入に関しては、こうした条件の違いについて十分把握したうえで検討を行うことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500040C

成果

専門的・学術的観点からの成果
今後の中央社会保険医療協議会における検討において、薬価設定方式についての選択肢を提供するとともに、医薬品使用の効率化や、適切な規格の医薬品の供給など可能性について議論するための基礎的な情報となることが期待される。また、平成17年10月5日第25回中央社会保険医療協議会薬価専門部会において本研究の報告が参考資料として使用された。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
専門部会において本研究の報告が紹介された。新たな薬価算定ルールは平成18年1月25日の中医協で了解され、本研究の研究テーマである、フラットプライスの導入の是非に関連しては、「汎用規格の用量を超える高用量の規格の算定に用いる規格間比の上限を引下げ」という項目が追加された。これは、本研究が指摘したフラットプライスを導入した場合の問題点を考慮したものと考えられる。
その他行政的観点からの成果
平成18年1月25日の中医協で了解された新たな薬価算定ルールでは、本研究の研究テーマである、フラットプライスの導入の是非に関連しては、「汎用規格の用量を超える高用量の規格の算定に用いる規格間比の上限を引下げ」という項目が追加されたが、医療費抑制効果が低い場合には引き続き検討が行われることが考えられ、その際には、最終報告が活用されるものと思われる。
その他のインパクト
製薬企業にとっては、薬価算定ルールにどう影響するのか興味のあるところであり、製薬企業相手の私的な研究会や講演会で研究成果を発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
中央社会保険医療協議会薬価専門部会において本研究の報告が参考資料として使用された。
その他成果(普及・啓発活動)
1件
新たな薬価算定ルールの制定につながった。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-