少子化関連施策の効果と出生率の見通しに関する研究

文献情報

文献番号
200500036A
報告書区分
総括
研究課題名
少子化関連施策の効果と出生率の見通しに関する研究
課題番号
H17-政策-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 重郷(国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々井 司(国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部)
  • 安藏 伸治(明治大学政経学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子化対策を効率に推進するために、1)少子化対策要因の出生率におよぼす影響評価の研究、2)地域の少子化効果に関する研究、3)少子化の見通しと少子化施策に関する有識者調査という三つの柱から研究を実施した。
研究方法
マクロ・モデルによる少子化対策要因の出生率に及ぼすシミュレーション分析、大都市圏のキャリアカップルのインタビュー調査による育児期のニーズ研究、ならびに、その他失業や非正規就業が結婚・出生行動に与える影響についての文献サーベイを実施した。地域の少子化効果に関する研究では、自治体調査の個票を用いた分析を実施した。さらに、少子化の見通しに関する有識者デルファイ調査では、第1回目の調査を実施し、集計分析を行った。
結果と考察
①保育所定員数の増加とフリーターの減少は初婚率の上昇を通じ出生率を押し上げるように作用することが分かった。②機会費用とその経済的損失についての分析から、社会的にみて多額の損失を生んでいることを明らかにした。③両立支援制度についてのニーズとして、雇用管理のあり方に対する強いニーズがあきらかになった。④文献サーベイから、失業や非正規就業が結婚・出生行動に影響を及ぼすルートについて検討した。⑤無子割合の上昇に加えて、子どもを持つ夫婦における子ども数の減少が明らかになった。⑥妊娠中に正社員である女性に限ると、就業継続は若い世代ほど増加していることが分かる。⑦首都圏、首都圏の郊外地域、地方都市(農村)からなる調査結果により、出生意欲の変化の方向性に地域差が見い出せる。⑧地方の市町村では、高出生力を支えてきた夫婦出生力に停滞がみられると同時に、若年人口の転出による中長期的な出生力低下が危惧される。⑨少子化の見通しに関する有識者デルファイ調査の結果、2025年の出生率は平均値で1.22,2050年は1.25と回答された。
結論
①保育所定員の増加や若年就業対策は出生率上昇効果がある。②出産子育てと女性の就業が両立できる社会になれば、家族の幸福と国民経済的な利益がともに生み出される。③勤務時間短縮制度等の制度の柔軟性や公正な人事管理制度の問題が明らかになった。④今日、仕事と家庭の両立支援策は、非正社員を含めて考えるべきことが示された。⑤地域事情に応じた個々の地方自治体の取り組みに加え、地域間の問題を調整し、国全体の環境を改善するための総合的な取り組みが不可欠である。⑥有識者デルファイ調査から、労働・雇用政策,特に女性の結婚・出産後の再雇用や就業継続,男性の育児参加などが不可欠であるとの回答が多くみられた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
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