若年者の就業行動・意識と少子高齢社会の関連に関する実証研究

文献情報

文献番号
200500025A
報告書区分
総括
研究課題名
若年者の就業行動・意識と少子高齢社会の関連に関する実証研究
課題番号
H16-政策-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 博樹(東京大学社会科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 浩(東京大学社会科学研究所)
  • 玄田 有史(東京大学社会科学研究所)
  • 佐藤 香(東京大学社会科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,315,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、少子高齢社会の到来の中で現役世代を担う若年層の進路行動・意識・価値観の実態を把握するともに、彼らの行動や意識の変化についてパネル調査を実施して明らかにし、これからの若年雇用政策や社会保障制度改革にむけての基礎的な資料を提供することにある。
研究方法
平成17年度は、すでに実施した高校生調査、進路指導に関する高校調査、卒業後第1回追跡調査、保護者調査を分析するとともに、卒業後第2回追跡調査を実施した。2年目追跡調査では、高卒後の進路により4つの種類の調査票を作った。就職者用、短大・専門学校・職業訓練校通学者用、4年制大学通学者用、通学も就労もしていない者用の4つである。4つの調査票に共通した項目として、社会活動への参加、国民年金制度の理解、結婚・子育て・少子化に関する意識、30歳のときの働き方などを組み込んだ。
結果と考察
本年度の研究から得られた知見は以下の通りである。
第1に、少子化による18歳人口の減少、進学率の上昇、卒業後無業者の増加、就職市場の縮小など高校生を取り巻く社会・経済環境は大きく変貌している。このような先行き不透明さを反映してか、高校生の間で実社会へと巣立っていくときに抱く不安感や不本意に感じる「着地不安」の傾向が見られる。着地不安は、現代の若者に特徴的といわれている「自己無能感」「やりたいこと志向」「現在志向」と深く結びついている。良好な友人関係、教師による期待は、生徒の自己無能感を低下させ、授業を面白いと感じさせることで、着地不安を間接的に軽減させることが明らかになった。
第2に、働くことや将来の進路・目標といった進路意識の変遷に着目すると、高校3年生の時点に比べ卒業後の方がむしろ進路意識が不明確化する傾向が見られた。高校を卒業して新しい生活環境にも適応し、将来のことを考える余裕もでき、自分のやりたい仕事を早くしぼらなければならないと感じはじめているが、どんな仕事をしたいか、10年後にどのようになっていたいかが明確でなく、結果として、自分の進路について悩んでいるという、迷える若者像が浮かび上がってくる。
結論
少子化による18歳人口の減少、進学率の上昇、卒業後無業者の増加、就職市場の縮小など高校生を取り巻く環境は大きく変貌している。このような先行き不透明さを反映してか、高校3年生の時点に比べ卒業後の方がむしろ進路意識が不明確化する傾向が見られ、自分の進路について悩んでいるという、迷える若者像が浮かび上がってくる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-14
更新日
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