中小規模事業場の健康支援に関連する政策・施策・サービスの連携に関する研究―最適支援システムの構築を目指して―

文献情報

文献番号
200500005A
報告書区分
総括
研究課題名
中小規模事業場の健康支援に関連する政策・施策・サービスの連携に関する研究―最適支援システムの構築を目指して―
課題番号
H15-政策-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
錦戸 典子(東海大学健康科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 一美(社会保険健康事業財団 事業部健康課)
  • 荒井 澄子(東京都福祉保健局 障害者施策推進部)
  • 飯島 美世子(職域保健・産業看護塾)
  • 原 邦夫(久留米大学 医学部)
  • 福田 英子(東海大学 健康科学部)
  • 三橋 裕行(日本家族計画協会)
  • 三好 ゆかり(国民健康保険中央会 保健事業部)
  • 本木 千春(東海大学 健康科学部)
  • 平田 衛(独立行政法人 産業医学総合研究所)
  • 池田 智子(茨城県立医療大学 保健医療学部)
  • 前田 一寿(特定非営利法人 ジョブ・ストレスケア・ジャパン)
  • 北條 稔(大田地域産業保健センター)
  • 田中 美加(九州看護福祉大学 看護学部)
  • 湯淺 晶子(人材派遣健康保険組合 健康管理グループ)
  • 川上 裕子(社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,906,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、サービス利用者である中小規模事業場のニーズに基づいて、事業場の主体的な健康づくりを推進するために有効な健康支援システムモデルを構築して、その効果を実証的に検討し、今後の政策提言を行うことを目的としている。
研究方法
最終年度は政府管掌健康保険加入の中小規模事業場約80ヶ所を対象に、社会保険健康事業財団の保健師が支援ツールを活用して約1年間にわたり支援を行うモデル事業の継続と最終評価を行った。また、海外の先進的な取り組み事例の聞き取り調査を行って、今後のわが国の施策に有用と思われる支援要素を抽出した。これらの知見を基に、現行の支援モデルに対する新たな支援システムモデルを構築し、経済面、人材面、機能面、カバー率等についてシミュレーションを行い、今後の方策を検討した。
結果と考察
モデル事業を展開した事業場のうち、約7割の事業場において実際に支援ツールが活用され、そのほぼ全数の事業場において元気職場づくり宣言が行われるなど、これらの支援モデルおよびツールの有効性が示唆された。
海外の支援システムからは、多職種協働の支援システム、医療保険者の健康職場づくりへの参画、事業場の取り組み意欲喚起のための経済的なインセンティブシステム、分かりやすい情報提供システムなど、今後のわが国の施策づくりに資する知見が得られた。
支援システムに関するシミュレーションの結果、保健師等の活用範囲を拡大した「多職種活用モデル」、ならびに医療保険者や保健所・保健センター等の地域資源の連携を図る「多機関連携モデル」、さらに、事業場が産業保健活動を実施した費用の一部償還等により民間サービス機関の利用を促進する「インセンティブモデル」等の有用性が予測された。
結論
本研究班で開発した中小規模事業場の支援ニーズに基づく健康支援モデルおよび支援ツールの有効性、ならびに広範な活用可能性が示唆された。今後の中小規模事業場の主体的な健康職場づくり支援を有効に展開するための社会的基盤構築に向けた政策提言として、①労働安全衛生法における保健師等の位置づけの確立ならびに活用推進、②健康職場づくり支援への医療保険者の本格的参画、③民間健康支援機関の質保証と利用促進に向けた経済的インセンティブの付与、④地域産業保健センター等の支援機関のサービスの質向上と地域資源の連携強化、などが導かれた。

公開日・更新日

公開日
2006-05-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200500005B
報告書区分
総合
研究課題名
中小規模事業場の健康支援に関連する政策・施策・サービスの連携に関する研究―最適支援システムの構築を目指して―
課題番号
H15-政策-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
錦戸 典子(東海大学健康科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井澄子(東京都福祉保健局)
  • 飯島美世子(職域保健・産業看護塾)
  • 池田智子(茨城県立医療大学 保健医療学部)
  • 川上裕子(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会)
  • 田口敦子(東京大学大学院医学系研究科)
  • 田中美加(九州看護福祉大学 看護学部)
  • 中田光紀(独立行政法人 産業医学総合研究所)
  • 原 邦夫(久留米大学 医学部)
  • 平田 衛(独立行政法人 産業医学総合研究所)
  • 福田英子(東海大学健康科学部)
  • 北條 稔(大田地域産業保健センター)
  • 前田一寿(NPO法人ジョブ・ストレスケア・ジャパン)
  • 松田一美(社会保険健康事業財団 事業部)
  • 三橋裕行(社団法人 日本家族計画協会)
  • 三好ゆかり(国民健康保険中央会 保健事業部)
  • 本木千春(東海大学健康科学部)
  • 湯淺晶子(人材派遣健康保険組合)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、サービス利用者である中小規模事業場のニーズに基づいて、事業場の主体的な健康づくりを推進するために有効な健康支援システムモデルを構築して、その効果を実証的に検討し、今後の政策提言を行うことを目的としている。
研究方法
主に、1)利用者ニーズに関するインタビュー調査、2)新たな支援モデルの構築、3)必要な支援ツールの開発、4)モデル事業の展開とその評価、5)海外のシステムや取り組み事例の収集、6)支援システムに関するシミュレーション、を実施した。
結果と考察
事業場へのニーズ調査結果に基づき、事業場が主体的に健康づくりに取り組むために必要な支援として、分かりやすい情報の提供や、気軽に相談できるファシリテータとしての保健師の活用等を主軸とする、新たな健康支援モデルを構築し、支援ツールとしてアクションチェックリスト・情報ガイドブック・成功事例集等を作成した。それらを用いたモデル事業を展開した結果、職場ニーズに沿った元気職場づくり宣言が実際に支援ツールを用いた殆どの職場で行われるなど、これらの支援モデルおよびツールの有効性が示唆された。
海外の支援システムからは、多職種協働の支援システム、医療保険者の健康職場づくりへの参画、事業場の取り組み意欲喚起のための経済的なインセンティブシステム、分かりやすい情報提供システムなど、今後のわが国の施策づくりに資する知見が得られた。
支援システムに関するシミュレーションの結果、保健師等の活用範囲を拡大した「多職種活用モデル」、ならびに医療保険者や保健所・保健センター等の地域資源の連携を図る「多機関連携モデル」、さらに、事業場が産業保健活動を実施した費用の一部償還等により民間サービス機関の利用を促進する「インセンティブモデル」等の有用性が予測された。
結論
本研究班で開発した中小規模事業場の支援ニーズに基づく健康支援モデルおよび支援ツールの有効性、ならびに広範な活用可能性が示唆された。今後の中小規模事業場の主体的な健康職場づくり支援を有効に展開するための社会的基盤構築に向けた政策提言として、①労働安全衛生法における保健師等の位置づけの確立ならびに活用推進、②健康職場づくり支援への医療保険者の本格的参画、③民間健康支援機関の質保証と利用促進に向けた経済的インセンティブの付与、④地域産業保健センター等の支援機関のサービスの質向上と地域資源の連携強化、などが導かれた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
中小規模事業場における産業保健活動の推進方策を検討するために、事業場の健康課題や支援ニーズに関するインタビュー調査を実施し、利用者ニーズに基づいた支援モデルの構築と支援ツールの開発を行った。効果評価のため、医療保険者の保健師がファシリテータとなり、これらの支援ツールを用いたモデル支援事業を展開した。通常支援のみの対照群と比較した結果、支援モデル・ツールを用いて支援した群において健康職場づくりの活動や事業場外資源情報の認知が進んだことが実証され、これらの支援モデル・ツールの有用性が示唆された。
臨床的観点からの成果
中小規模事業場においては、事業場内に産業保健スタッフが存在しないことから、いかに主体的に事業場外資源を活用した健康職場づくりを進められるかが鍵になる。今回開発した支援ツールの1つである「元気職場づくり情報ガイドブック」には、地域の各健康支援機関の活動内容や連絡先などが一元的に整理されており、事業場における予防的健康増進活動や環境改善対策はもとより、万一労働者に健康問題が起きた際の受診・相談先の検索・確認にも役立ち、早期対応が可能になると考えられる。
ガイドライン等の開発
支援ツールとして「元気職場づくりアクションチェックリスト」、「同情報ガイドブック」、「同活動ヒント集(成功事例集)」を作成し、関係機関に配布した。
「職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会」(2005年8月3日)において、中小規模事業場におけるメンタルヘルス対策に関してのヒアリングがあり、中小規模事業場の現状と課題、ならびに支援方策として保健師等を含めた多職種の活用、ならびに、労働衛生機関のみならず、医療保険者や行政保健機関など多機関の連携が望まれること等について発表した。
その他行政的観点からの成果
東京産業保健センターにおいて2006年3月6日に開催された「地域産業保健センターコーディネータ能力向上研修会」において、本研究で開発した支援モデルならびにツールについての紹介を行った。地域産業保健センターの利用活性化に向けて、これらの支援モデル・ツールの有効性や活用可能性が参加者からも支持され、2006年度以降に実践的研究を経て、地域産業保健センター等、中小規模事業場を取り巻く多くの地域支援機関での活用・応用、ならびにそれら機関間の連携強化に役立てる予定である。
その他のインパクト
研究班による「元気職場づくりワークショップ」を2005年11月に実施し、中間成果発表を行った。モデル事業を実施した事業場担当者や支援した保健師からの発表を交え、また海外調査の結果報告も含めて、今後の効果的な支援方策について、行政保健機関、医療保険者、労働衛生行政機関等の多機関からの参加者を得て、活発な討論を行った。 学会や研究会等での発表を初め、健康支援に関する情報誌である「へるすあっぷ(法研)」や「家族と健康」にも記事が掲載され、各事業場の健康支援担当者等からの問い合わせが多く寄せられた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
12件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
10件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Noriko Nishikido, Akiko Yuasa, Chiharu Motoki, Mika Tanaka, et.al.
Development of Multi-dimensional Action Checklist for Promoting New Approaches in Participatory Occupational Safety and Health in Small and Medium-sized Enterprises.
Industrial Health , 44 , 35-41  (2006)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-