バングラデシュ及び中国を中心とする地下水のヒ素汚染地域において地下水を(安全な)水道水源とする実現可能性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200401333A
報告書区分
総括
研究課題名
バングラデシュ及び中国を中心とする地下水のヒ素汚染地域において地下水を(安全な)水道水源とする実現可能性評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
徳永 裕司(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 国包 章一(国立保健医療科学院)
  • 横田 漠(宮崎大学工学部)
  • 大野 浩一(北海道大学大学院工学研究科)
  • 山内 博(聖マリアンナ大学公衆衛生教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地下水のヒ素汚染はインド、バングラデシュ、中国等で報告されている。特に、バングラデシュにおけるヒ素汚染は非常に深刻で数多くの国際機関が調査し、安全な水供給の施策を行ってきた。しかし、ヒ素汚染問題に対する根本的な解決の糸口はみられていない。この原因として、ヒ素処理前後でのヒ素暴露量の推定がなされていない、給水体制の面からヒ素処理水の確保が十分でない、ヒ素処理装置の維持管理の問題、ヒ素処理後のヒ素含有汚泥による2次的な環境汚染の問題が指摘できる。
研究方法
 本年度は、徳永及び国包はバングラデシュにおける地下水のヒ素汚染地域の選定並びに現地の協力者の調査を中心に行った。横田は、バングラデシュ・マルア村にヒ素除去装置を開発・設置し、その性能を検討している。山内は、中国内蒙古自治区フルホト市でヒ素汚染された井戸水を長期間摂取していた住民のヒ素の代謝・排泄、ヒ素暴露によるDNA損傷の動態について検討した。大野は、バングラデシュ・ナワブガンジ市を中心に炊飯前後のコメ中ヒ素濃度に与える影響を調査した。
結果と考察
 本年度2回のバングラデシュの調査により、パートナーとしては、ラシャヒ大学のRahman教授を選定し、ChapaiNawabganj 地区を今回の研究課題の候補地とした。ヒ素除去の性能試験の結果、ヒ素除去装置はバングラデシュの飲料水基準を満たしていた。ヒ素汚泥の粉末からのヒ素の溶出は0.30mg/l以下であり、地中処分でも可能であった。中国フルホト市での調査研究では、慢性ヒ素中毒症は認められなかったが、観察の継続が慢性ヒ素中毒発症の機序解明に貢献するものと考えられた。調査した18家庭における生のコメ・炊いたコメの平均ヒ素濃度は0.25と0.32mg/kg-dryであった。
結論
 バングラデシュ側のラシャヒ大学Rahman教授を通し、安全な水を供給する深井戸の掘削と動力など施設の建設を進める。ヒ素除去装置のメンテナンスを簡略化を検討する。ヒ素汚泥の粉末中のヒ素は90%以上も汚泥中に閉じ込められた。中国フルホト市での調査では、ヒ素中毒症は認められなかった。継続的な観察が必要である。炊飯前後のコメ中ヒ素濃度の差と炊飯用水のヒ素濃度には強い正の相関が見られた。水と食料からの摂取量について総合的な暴露量調査の必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-