諸外国における室内空気規制に関する研究

文献情報

文献番号
200401323A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における室内空気規制に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池田 耕一(国立保健医療科学院 建築衛生部)
研究分担者(所属機関)
  • 内山 巖雄(京都大学大学院 工学研究科都市環境工学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
3,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、いわゆるシックハウス問題等、建物の室内空気汚染が原因とされる居住者の健康問題が社会的に大きくなり、室内濃度指針値の策定や改正建築基準法による特定化学物質の使用規制など、我が国の施策は大きな進展を遂げた。しかし、同時にこの問題にはいくつかの十分解決されていない課題が残されている。本研究の目的は、諸外国の室内空気質規制に関する取り組みの背景と特徴、及び動向等を調査し、問題に対する対応の進捗状況を整理し、室内空気質規制に関連する今後の政策課題を提言することである。
研究方法
室内空気質ガイドライン、ラベリング、室内空気質のリスク評価等に関わる資料を収集・解析した。国際機関や諸外国の報告書、関連学会の資料や論文をインターネット及び文献データベースで調査した。さらに、国際学会への参加や電子メール等で諸外国の関係組織に直接問い合わせて最新情報を入手した。
結果と考察
欧州、アジア、北米等29カ国から関連情報を得た。一般居住環境の室内空気質に対する諸外国の取り組みの基本概念は情報提供である。その方法は、室内空気質ガイドライン、関係業界による建材等のラベリング、一般向けのパンフレット等である。有害性が高く幅広く使用され、深刻な公衆衛生問題を引き起こしていると判断された場合、放散源の規制基準勧告や使用禁止措置がなされている。一般居住環境は、特定の化学物質に高濃度曝露する労働環境と異なり、多数の低濃度の化学物質に複合曝露する。そのため、特定の化学物質を対象とした法的拘束力のある規制ではなく、情報提供を基本とした非規制戦略を諸外国は採用していると考えられる。
結論
本研究で得た今後の研究課題を以下に示す。 1)室内空気汚染物質のリスクスクリーニング、(2)室内空気汚染物質の毒性データベースの充実、3)室内空気汚染物質の室内挙動に関する研究及びその挙動を考慮した室内空気質リスク評価スキームの開発、4)政策決定プロセスにおけるリスクコミュニケーションの導入、5)汚染物質の総放散量を抑制し、部材に特異的な放散物質の放散基準を定めたラベリングの充実と建材以外への対象部材の拡大、6)生物学的要因等の住まい方が関与する汚染物質の室内空気質ガイドラインの検討、7)低濃度化学物質の複合曝露による毒性発現メカニズム及びリスク評価スキームの研究、8)高感受性集団の個人差や大人と子供の呼吸量の差を考慮した室内濃度指針値策定スキームの開発

公開日・更新日

公開日
2005-05-23
更新日
-