建築物におけるねずみ・害虫等の対策に関する研究

文献情報

文献番号
200401318A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物におけるねずみ・害虫等の対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田中 生男(財団法人 日本環境衛生センター 環境生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 津田良夫(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
  • 冨田隆史(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
  • 金山彰宏(横浜市衛生研究所 医動物室)
  • 新庄五朗((財)日本環境衛生センター 環境生物部)
  • 武藤敦彦((財)日本環境衛生センター 環境生物部)
  • 平尾素一(環境生物コンサルティング・ラボ)
  • 元木貢(アペックス産業株式会社)
  • 谷川力(イカリ消毒技術研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ねずみ・害虫等の対策に関して、建築物衛生法の適切な運用に資する技術指針を作ることを目標に、基礎・応用的な研究を行い、IPM理念による、より安全性が高く有効な、新防除体系を策定する。
研究方法
①問題種を明らかにするため、ライトトラップ、粘着トラップ等を用いて年間捕獲を行う。②種々のトラップの有効性や利便性を比較検討する。必要に応じて新たな用具開発についても研究する。ねずみなど捕獲困難な種については、証跡(糞、足跡等)が調査法として使えるかどうかを検討する。③害虫等の発生密度を調査し、居住者の出没感との関連を明らかにする。④各地から採集する害虫を用いて、抵抗性の発達程度や発達機構について生物検定や分子診断等により調査する。⑤害虫の発生現場で、異なる防除法の有効性を比較検証する。また、米国におけるIPM理念に基づく防除の実態を調査する。
結果と考察
①チャバネゴキブリ、チカイエカは普遍的に多い。チカイエカ成虫は屋外でも採集される。こばえ類がかなり多く捕獲され、防除対象として注目すべきことを示唆した。②粘着トラップと粘着リボンを用いれば、飛翔性昆虫と匍匐性昆虫の多くが捕獲される。しかし、状況によっては誘引トラップが必要である。③居住者の害虫に対する出没感と発生指数、環境整備状況には関連が見られ、これらから維持管理基準設定が可能である。④チャバネゴキブリの低感受性集団から予想以上のピレスロイド低感受性遺伝子が検出された。アカイエカ群のピレスロイド低感受性はナトリウムチャンネルの変異によって生じる可能性がある。チャバネゴキブリに対して低い効果しか示さない市販毒餌がある。⑤米国ではIPM実施効果を、リスクの多い薬剤使用の減少程度で判断している。
結論
①チャバネゴキブリ、チカイエカは共通的に発生が多い。チョウバエ、ノミバエ等を対策の重点種として考慮する必要がある。②害虫は粘着トラップを主体に調査できるが、配置数、配置日数などはさらに検討する必要がある。③被害感と発生指数から維持管理基準の設定ができる見通しがある。④チカイエカとチャバネゴキブリでは抵抗性の分子診断が可能である。⑤IPM実施には、調査法、維持管理基準値、効果判定法の設定が不可欠である。IPM計画策定のためには、3年次にさらに、多様な手段による防除実例を集める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-05-23
更新日
-