地域における健康危機管理研修に関する研究

文献情報

文献番号
200401313A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における健康危機管理研修に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則子(国立保健医療科学院 生涯保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 曽根 智史(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院 研究情報センター)
  • 橘 とも子(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 谷畑 健生(国立保健医療科学院 疫学部)
  • 武村 真治(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国及び諸外国における健康危機管理研修の実態を把握し、効果的な健康危機管理研修の体系、具体的なカリキュラムのあり方を検討することを目的とした。
研究方法
①健康危機への対応の実践的能力・技術の向上を目指した演習プログラムを開発・実施し、理解度、教育技術、有用性などを評価した。②諸外国(アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデン、オーストラリアなど)の健康危機管理システム及び健康危機管理研修の実態を把握するために、国内での情報収集と現地訪問調査を実施した。③過去の健康危機事例を分析し、保健所長に求められる健康危機管理能力を抽出・整理した。④地方自治体の健康危機管理マニュアルを収集・分析し、健康危機の分析・評価・管理に必要な情報の種類・内容を整理した。⑤健康危機の構成概念妥当性、及びリスク分析・評価の定量的・定性的基準に関する信頼性・妥当性を検討した。
結果と考察
①「ロールプレイ(記者発表・住民説明)」に対する受講生の評価は高く、健康危機管理研修の重要なプログラムとして位置づけ、継続的に実施する必要がある。②保健所管理職員等を対象とした「事例分析(感染症・食中毒、自然災害)」は、研修会の回数を重ねるごとに受講生の理解度と講師の教育技術が向上していたことから、継続的な改善・実施・評価が必要である。③保健所長を対象とした「組織管理シミュレーション(感染症、原因不明事例)」の評価は若干低く、プログラムの内容(演習の手順、時間配分、教材など)を改善する必要がある。④諸外国では、様々な組織で、感染症、化学物質といった個別対応の研修が実施されていたが、網羅的・体系的なカリキュラムは開発途上であった。また健康危機のなかでは「テロへの対応」に重点が置かれていた。⑤保健所長の健康危機管理能力の要素として、健康危機のインパクトの推定、原因究明調査のマネジメント、対策遂行のマネジメント、スポークスマンとしての迅速・正確な情報提供、関係機関とのコンセンサスの形成が抽出された。
結論
保健所長や保健所職員の健康危機管理能力として迅速かつ適切な判断が重要であること、その能力の向上のために開発された演習プログラムの教育効果が高いこと、今後は諸外国の研修などを参考にさらに効果的な演習プログラムと健康危機管理研修のカリキュラムを開発する必要があること、が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2005-07-29
更新日
-