国民のニーズに適合した地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーのあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200401304A
報告書区分
総括
研究課題名
国民のニーズに適合した地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーのあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 兵井 伸行(国立保健医療科学院人材育成部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国および諸外国の地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーの実態を把握し、国民にとって必要なサービスの量・質・内容の観点からそれらを評価し、効果的かつ効率的な地域保健行政組織及び地域保健システムのあり方を検討することを目的とした。
研究方法
①イギリスにおける公衆衛生専門家の養成システムの実態を把握し、わが国への適用可能性を検討するために、文献調査と現地訪問調査を実施し、公衆衛生専門家の教育課程、試験内容、資格認定などの情報を収集・分析した。②健康危機管理において重要な役割を担う検疫所の職員の研修のあり方を検討するために、文献調査、関係者への聞き取り調査を実施し、検疫所職員に必要な知識・技術、研修のニーズに関する情報を収集・分析した。
結果と考察
①イギリスの公衆衛生専門家の教育課程は5年間で、OJT(研修生として保健医療関係組織に出向し、公衆衛生関連のプロジェクトに従事する)を中心に、公衆衛生大学院の修士課程、2回の試験で構成される。2回の試験では、公衆衛生の知識・技術の基礎と応用、コミュニケーション能力が評価され、公衆衛生専門家としての能力・資質が総合的に検定される。またPublic Health Training Portfolio(教育課程を通じて使用される評価表)によって、公衆衛生専門家に必要な能力(competency)が達成されたかどうかを評価するシステムが確立していた。competencyは、住民の健康・福祉の状態の監視とアセスメント、住民の健康・福祉の増進と保護、質の管理・リスク管理、健康に向けた共同の取り組み、保健プログラム・サービスの開発と不公平の是正、政策・戦略の開発と実施、地域のための地域と共同した取り組み、戦略的リーダーシップ、研究開発、自己・集団・資源のマネージメントで構成されていた。②検疫所職員に対する研修として、熱帯医学、防疫感染症、諸外国の感染症の予防・診断・治療、旅行医学・交通医学、人畜共通感染症などに関する講義、検疫所内及び関係機関(保健所、自治体など)との連携に関するシミュレーションが有用であることが示された。
結論
わが国においても、公衆衛生専門家や検疫官のcompetencyの体系を構築すること、OJTを活用した研修プログラムとその実施体制を整備することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-07-29
更新日
-