働き盛りの農村住民、都市住民、大企業勤務者男性の循環器疾患発症リスクとそれを規定する生活習慣要因、ヘルスプロモーションサービスに関する比較研究

文献情報

文献番号
200401292A
報告書区分
総括
研究課題名
働き盛りの農村住民、都市住民、大企業勤務者男性の循環器疾患発症リスクとそれを規定する生活習慣要因、ヘルスプロモーションサービスに関する比較研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
上島 弘嗣(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 智教(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講)
  • 由田 克士(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 食事評価法研究室)
  • 山縣 然太朗(国立大学法人 山梨大学大学院 医学工学総合研究部社会医学講座)
  • 喜多 義邦(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
  • 武林 亨(慶応義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室)
  • 中村 保幸(京都女子大学 家政学部生活福祉学科)
  • 杉原 秀樹(公立高島総合病院 循環器科)
  • 中川 秀昭(金沢医科大学 健康増進予防医学)
  • 大和 浩(産業医科大学 産業生態研究所労働衛生工学教室)
  • 日下 幸則(国立大学法人 福井大学 医学部国際社会医学講座環境保健学)
  • 岡山 明(国立循環器病センター 循環器病予防検診部)
  • 笠置 文善(財団法人 放射線影響研究所 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,234,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、働き盛りの60歳未満の男性を対象として、老人保健法の管理下にある農村部住民と都市部勤務者の飲酒、喫煙、塩分摂取量などの生活習慣、各種の検査指標、医療、保健受療状況を比較し、農村部住民の健康管理上の問題点を明らかにすることである。健康管理体制が確立した企業勤務者に比し、農村部住民の健康管理状況には改善すべき点が未だ多いと考えられ、農村部住民と勤務者の健康状態を比較検討することは公衆衛生的に意義があると思われる。
研究方法
研究対象とする農村地域は滋賀県T郡とし、対照集団として大企業勤務者集団を設定した。これらの各集団でデータの相互比較を可能とするため、厳格な精度管理を行った。比較した所見は、血圧、血清脂質、耐糖能異常、喫煙、飲酒など主要な循環器疾患の危険因子とその薬物療法、非薬物療法等の状況である。今年度は滋賀県T郡住民60歳未満男性552人(平均年齢48歳)、大都市(東京、大阪)企業勤務者60歳未満男性2,168人(平均年齢38歳)について健康診査等の標準化を行った。両群の年齢構成に大きな差があるため、年齢構成のほぼ重複する40~55歳(T郡住民266人、都市部勤務者817人、平均年齢は49歳、47歳)を分析対象とした。
結果と考察
共分散分析で年齢を調整すると、収縮期血圧値はT郡住民で128mmHg、大都市勤務者で124mmHg、拡張期血圧値はそれぞれ82mmHg、78mmHgと有意差を認めた。塩分摂取量は13gと9g、喫煙率は52%と46%でいずれもT郡住民の方が有意に高かった。一方、血清総コレステロール値、HDLコレステロール値は、T郡住民、大都市勤務者でそれぞれ、210mg/dlと204mg/dl、54mg/dlと56mg/dlで、T郡住民の方が脂質関連指標で悪い傾向を示した。高血圧、高コレステロール血症、糖尿病の服薬率は両群で差を認めなかったが、食事療法、運動療法実施者の割合は、T郡住民の方で有意に低かった。また、BMIは両群で差を認めず、随時血糖値(対数変換)は都市部勤務者の方が高かった。線形重回帰係数より両群の収縮期血圧値の差の1.5mmHg(約40%)は、塩分排泄量(摂取量)の差に起因することが明らかとなった。
結論
現在でも、働き盛りの男性において、農村と都市の危険因子の差は明らかに認められ、今後、農村部の健康管理をどう進めていくかが大きな課題であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-