行動科学に基づく栄養教育と支援的環境づくりによる地域住民の望ましい食習慣形成に関する研究

文献情報

文献番号
200401271A
報告書区分
総括
研究課題名
行動科学に基づく栄養教育と支援的環境づくりによる地域住民の望ましい食習慣形成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
武見 ゆかり(女子栄養大学 栄養学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 敏(独立行政法人国立健康・栄養研究所 )
  • 岡田 加奈子(千葉大学教育学部)
  • 村山 伸子(新潟医療福祉大学 医療技術学部)
  • 中嶋 康博(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
  • 水嶋 春朔(国立保健医療科学院)
  • 島内 憲夫(順天堂大学 スポーツ健康科学部)
  • 森山 浩(世田谷区世田谷保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の一次予防の視点で、地域住民の生涯にわたる望ましい食習慣形成をねらって,行動科学に基づく住民への栄養教育と,地域の支援的な食環境づくりを統合した介入プログラムを開発・実施し,その有効性を検証することである。
研究方法
東京都世田谷区内に設定した2モデル地区(介入地区)の小学6年生とその保護者、並びに地域の食環境づくりの担い手である商店会店主、さらにはその地区を買物等で利用する一般住民を対象に事後調査を実施し、介入前後、及び介入地区と対照地区(4地区)の比較を行って、介入の効果を評価した。解析対象は、児童、保護者、商店主は事前事後ともに調査協力の得られた者とし、児童(介入群158名、対照群264名)、保護者(介入群女性140名、男性70名、対照群女性112名、男性48名)、商店主(介入群146名、対照群121名)であった。一般住民は住民台帳より無作為抽出し、事前事後で個人のマッチングを行わずに解析した。また、両モデル地区では、15年度から継続して小学校での学習への支援,並びに児童の学習と連動した商店街の取組みへの支援を行い,それらのプロセス評価を実施した。以上の評価をふまえ「地域と学校が連携した食育と食環境づくり」マニュアルを作成した。
結果と考察
1.児童では、食知識(主食・主菜・副菜)は介入群、対照群とも有意に増加した。介入群は対照群に比べ、食態度(栄養バランスや野菜摂取の重要性の認識、自己効力感)、食行動(朝食摂食頻度、食情報の入手)、食物摂取(野菜摂取量、カロテン、V.C、葉酸)で有意に良好な変化がみられた。2.保護者は、女性では、介入群で食知識、食態度、食環境の認識、食物摂取で有意に望ましい変化がみられたが、男性はほとんど変化がなかった。3.商店主では、食知識(適正体重)、食態度、食スキル、食行動(マスコミからの情報入手、副菜の摂取、運動の実施)で、介入群のみに有意に良好な変化がみられた。4.一般住民では、男女とも対照群に比べ介入群で、世田谷区(地域)への評価が高まっていた。5.食環境面の変化として、介入地区の商店街では、健康・食情報の提供を行っている店が有意に増加した。
結論
以上から、地域において、栄養教育と食環境づくりを統合した働きかけを実施することは、教育の直接の対象者だけでなく、食環境づくりに関わる人々や組織、さらにはその地域の一般住民にまで望ましい変化をもたらすポピュレーション・アプローチとして有効であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-07-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200401271B
報告書区分
総合
研究課題名
行動科学に基づく栄養教育と支援的環境づくりによる地域住民の望ましい食習慣形成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
武見 ゆかり(女子栄養大学 栄養学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 敏(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 岡田 加奈子(千葉大学 教育学部)
  • 村山 伸子(新潟医療福祉大学 医療技術学部)
  • 中嶋 康博(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
  • 水嶋 春朔(国立保健医療科学院)
  • 島内 憲夫(順天堂大学 スポーツ健康科学部)
  • 橘 とも子(14年度)((元)世田谷区世田谷保健所)
  • 阿部 晃一(15年度)(世田谷区世田谷保健所)
  • 森山 浩(16年度)(世田谷区世田谷保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の一次予防の視点で、地域住民の望ましい食習慣形成をねらって,行動科学に基づく住民への栄養教育と,地域の支援的な食環境づくりを統合した介入プログラムを開発・実施し,その有効性を検証することである。尚、望ましい食習慣とは、適正体重を維持する食事量を理解し、主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事として主体的に実現できることをいう。
研究方法
東京都世田谷保健所管内に、小学校を拠点として介入2地区と4対照地区を設定した。
【14年度】研究者と保健所職員で検討と研修を重ね,小学校6校(介入2校,対照4校)の5年生535名とその保護者691名、学区にある商店会組合加盟店の店主(介入2地区,対照2地区)全数560名、40~50歳代の一般住民(6校の学区より無作為抽出)1,387名のベースライン診断を実施。診断結果をふまえ,介入プログラムを作成。
【15年度】①学童と保護者への栄養教育の実施(学童へは総合的な学習の時間等を活用して,年間約40時間の学習を実施,その中で商店街でのしらべ学習,商店街への情報発信も実施。保護者へは保護者会,PTA活動を利用した情報提供,参加型栄養教室の開催)、②商店会と協働した食環境づくりの実施(児童の学習内容と合致した情報提供及び健康的な持ち帰り弁当の販売等),そのためのツール(リーフレット,POP,ホームページ)の開発 ③以上の介入のプロセス評価、④結果評価のための児童,保護者を対象として調査を実施。
【16年度】①一般住民,商店会店主への事後調査の実施。②児童、保護者、商店会商店主、さらには一般住民について、介入前後、及び介入地区と対照地区の比較を行って、介入の効果を評価した。③介入地区では、小学校での学習への支援,商店街の取組みへの支援を継続的に行い,それらのプロセス評価を実施。④以上の評価をふまえ「地域と学校が連携した食育と食環境づくり」マニュアルを作成。
結果と考察
3年間の取組みで、地域と学校が連携して栄養教育と食環境づくりを進めるための具体的なプログラムと関係者の連携が実現し、その効果を科学的に検証できた。マニュアルとして、プログラム編、評価編、保健所のコーディネート機能編の作成が可能になった。
結論
栄養教育と食環境づくりを統合した健康なまちづくりの取組みは、ポピュレーション・アプローチとして有効であり、健康日本21地方計画推進への寄与が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-07-01
更新日
-