POPsのリスク評価にむけてのヒト曝露長期モニタリングのための試料バンクの創設に関する研究

文献情報

文献番号
200401262A
報告書区分
総括
研究課題名
POPsのリスク評価にむけてのヒト曝露長期モニタリングのための試料バンクの創設に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小泉 昭夫(京都大学大学院 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉永 侃夫(京都大学大学院 医学研究科)
  • 伊達 ちぐさ(武庫川女子大学 生活環境学部)
  • 廣澤 巌夫(関西福祉科学大学 健康福祉学部)
  • 大前 和幸(慶應義塾大学 医学部)
  • 日下 幸則(福井大学 医学部)
  • 竹下 達也(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 村田 勝敬(秋田大学 医学部)
  • 甲田 茂樹(高知大学 医学部)
  • 等々力 英美(琉球大学 医学部)
  • 和田 安彦(兵庫医科大学 医学部)
  • 竹中 勝信(高山赤十字病院)
  • 渡辺孝男(宮城教育大学 教育学部)
  • 齋藤 憲光(岩手県環境保健研究センター)
  • 藤峰 慶徳(大塚製薬株式会社ライフサイエンス事業部)
  • 蜂谷 紀之(国立水俣病総合研究センター)
  • 太田 壮一(摂南大学 薬学部)
  • 藤井 滋穂(京都大学大学院 工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
43,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
POPsは新規化合物が次々と産業界に導入されているが、難分解性のため生物濃縮がおこりやすくPOPsによる健康影響は国民の関心事であり、経年的曝露を評価するための試料バンクが早急に必要であると考える。
研究方法
試料採取の手順の標準化、データベース化、試料収集の標準化、試料の品質管理、継続した試料を収集、バンクの倫理について検討する。さらに研究者および機関に試料バンクの利用希望、利用目的、試料の種類等を照会し、運用試用に適する利用者を選択・提供する。重要性の高い POPsの2003年の曝露評価を行う。新たな汚染物質であるPFOS/PFOAについて、毒性評価を行う。また、情報還元を行うことはバンクの一つの機能であり、メチル水銀の高濃度曝露が示唆された地域に対して、リスクコミュニケーションを行う。
結果と考察
平成16年度には所定の基準に従い血液4183、母乳824、食事727日分を採取した。市民参加の倫理課題のシンポジウムを行った。利用の照会の結果に基づき、運営委員会で審議ののち、1機関を選定し提供したところ、利用者の希望通りの試料提供が可能であることが実証できた。また、その結果世界ではじめて長期のdecaPBDEsの長期曝露評価が得られた。PCBsの食事からの摂取は1995年に比べさらに減少していた。血中濃度は、若年者では減少していたが、高齢者では減少は認められなかった。PBDEsについては米国に比べ低いが北欧諸国に近づきつつあった。メチル水銀摂取量は厚労省基準では17.3%と低い水準を維持していた。PFOSの曝露は1990年代で飽和に達したが、PFOAは指数関数的に増加していた。PFOSのCa-channelへの作用が認められた。過去に試料提供をうけたメチル水銀高曝露地域の住民の協力を得て、現在時点の毛髪水銀の測定したところ、経年的に曝露の減少はあったが、依然高い曝露が認められ、住民からも引き続く曝露軽減への取り組みを要望された。
結論
大よそ32000試料からなるバンクが構築され、バンクを用いた化学物質の曝露評価は経年的傾向が把握でき有効に機能することが証明された。また経年変化に基づいた地域への情報還元は、有効に機能することが証明された。さらに、バンク利用の公募、選定、提供も円滑に機能し、利用者の要望にあった試料が提供できることが証明された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-06
更新日
-