内分泌かく乱化学物質の作用機構に焦点を当てた新しいハイ・スルー・プットスクリーニング法による内分泌撹乱性の優先順位付けに関する研究

文献情報

文献番号
200401234A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質の作用機構に焦点を当てた新しいハイ・スルー・プットスクリーニング法による内分泌撹乱性の優先順位付けに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 達(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
  • 板井 昭子(医薬分子設計研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
86,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌かく乱化学物質問題の解明に向けた厚生労働省の「試験スキーム」に沿って本研究に要求される順位付けにおける化学物質スクリーニングを目的とした大規模スクリーニングを進めるとともに、順位付けの科学的根拠に関わる諸要因に関する基礎的研究を進め、内分泌かく乱のメカニズムやリスクアセスメントへの有効応用を目指す。
研究方法
(1)内分泌かく乱化学物質の計算探索と評価ではエストロゲン受容体β(ERβ)ドッキングモデルを構築して約2万化合物のin silicoスクリーニング計算を実施した。また、パスウェイスクリーニング系構築のため核内受容体リガンドにより変動する遺伝子ネットワーク解析を行った。(2)培養細胞HTPS系では、ERα、ERβ系において各100化合物、TR、AR系において各50化合物の測定を行った。(3)表面プラズモン共鳴(SPR)HTPS系においては、100化合物についてERβ測定を実施した。また、アポ型ERと相互作用するペプチドを用いた測定系の開発を行った。
結果と考察
In silicoスクリーニング系においては、約15,000の物質について結合様式と結合強度を予測した。パスウェイスクリーニング系構築のためのネットワーク解析においては、幾つかの特徴的なネットワークパターンが抽出された。培養細胞HTPS系においては、ER系でアゴニスト活性を有する物質は、ERαのみ21物質、ERβのみ2物質であり、両者共に活性を有する物質は、8物質であった。一方、AR系においてはアゴニスト活性、アンタゴニスト活性がそれぞれ9物質、14物質に、TR系については2物質、1物質に検出された。SPR-HTPS系における研究では、化合物のERα、ERβ選択性が検出可能であることが示された。アポ型ER特異的に結合するペプチドを用いた測定系を構築した。
結論
本研究におけるin silicoスクリーニング、培養細胞HTPS系、SPR-HTPS系は内分泌かく乱物質スクリーニング系として有用であり、またそれぞれ異なる特徴を有することから、各系からの情報を組み合わせて評価することで詳細試験にかける化合物のより科学的な優先順位付けを行うことが可能であると結論された。一方、パスウェイスクリーニング系は、さらにデータを蓄積することで、取りこぼしのないスクリーニング法・評価手法として有用な手法となると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200401234B
報告書区分
総合
研究課題名
内分泌かく乱化学物質の作用機構に焦点を当てた新しいハイ・スルー・プットスクリーニング法による内分泌撹乱性の優先順位付けに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 達(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
  • 板井 昭子(医薬分子設計研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌かく乱化学物質問題の解明に向けた厚生労働省の「試験スキーム」に沿って本研究に要求される順位付けにおける化学物質スクリーニングを目的とした大規模スクリーニングを進めるとともに、順位付けの科学的根拠に関わる諸要因に関する基礎的研究を進め、内分泌かく乱のメカニズムやリスクアセスメントへの有効応用を目指す。
研究方法
(1)内分泌かく乱化学物質の計算探索と評価ではエストロゲン受容体(ER)α、βドッキングモデルを構築し、約2万化合物についてin silicoスクリーニング計算を実施した。また、パスウェイスクリーニング系構築のため核内受容体リガンドにより変動する遺伝子ネットワーク解析を行った。(2)培養細胞HTPS系では、ERα、ERβ系において各200化合物、TR、AR系において各100化合物の測定を行った。(3)表面プラズモン共鳴(SPR)HTPS系においては、ERα系において200化合物、ERβ系を新たに構築し100化合物の測定を実施した。さらに、他の受容体や相互作用する因子を用いた新規測定系について検討した。
結果と考察
In silicoスクリーニング系においては、ERα、ERβそれぞれについて結合様式と結合強度を予測する計算式を構築した。パスウェイスクリーニング系構築のためのネットワーク解析においては、幾つかの特徴的なネットワークパターンが抽出された。培養細胞HTPS系においては、ERα系で43物質、ERβ系で53物質においてアゴニスト活性が検出された。一方、AR系においてはアゴニスト活性、アンタゴニスト活性がそれぞれ18物質、31物質に、TR系については7物質、2物質に検出された。SPR-HTPS系における研究では、化合物のERα、ERβ選択性が検出可能であることが示された。さらに、アポ型ER特異的に結合するペプチドを用いた測定系を構築した。
結論
本研究におけるin silicoスクリーニング、培養細胞HTPS系、SPR-HTPS系は内分泌かく乱物質スクリーニング系として有用であり、またそれぞれ異なる特徴を有することから、各系の情報を組み合わせて評価することで詳細試験にかける化合物のより科学的な優先順位付けを行うことが可能であると結論された。一方、パスウェイスクリーニング系は、さらにデータを蓄積することで、取りこぼしのないスクリーニング法・評価手法として有用な手法となると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-