依存性薬物および未規制薬物による神経毒性と精神病の発現機序に関する研究

文献情報

文献番号
200401186A
報告書区分
総括
研究課題名
依存性薬物および未規制薬物による神経毒性と精神病の発現機序に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 俊隆(名古屋大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学大学院医学研究院)
  • 山田 清文(金沢大学大学院自然科学研究科)
  • 野田 幸裕(名古屋大学医学部附属病院)
  • 岩村 樹憲(岐阜薬科大学)
  • 山本 経之(九州大学大学院薬学研究院)
  • 舩田 正彦(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 金子 周司(京都大学大学院薬学研究科)
  • 谷内 一彦(東北大学大学院医学系研究科)
  • 曽良 一郎(東北大学大学院医学系研究科)
  • 氏家 寛(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 池田 和隆(東京都精神医学総合研究所)
  • 糸川 昌成(東京都精神医学総合研究所)
  • 西川 徹(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
33,285,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は、未規制薬物および規制薬物であるmethamphetamine (MAP)や3,4-methylenedioxymethamphetamine(MDMA:エクスタシー)を対象に、長期乱用による依存と神経毒性の発生に係わる病態を分子生物学的に解明し、新たな予防・治療法の開発と国際的な依存・乱用防止の啓発に役立て、研究成果を社会に還元することである。
研究方法
本研究は、平成16年度から3年間研究を行い、基礎研究は鍋島俊隆(名古屋大学大学院医学系研究科医療薬学・附属病院薬剤部)が7名の分担研究者の責任者となり、臨床研究は曽良一郎(東北大学大学院医学系研究科 精神・神経生物学分野)が6名の分担研究者の責任者となり、2グループが合同会議を持ちながら研究を進めていく方針である。
結果と考察
基礎研究:MAPによる依存と精神障害モデル動物は確立し、それらの分子機序としてdopamine - glutamate作動性神経系を介する細胞内シグナル系、cannabinoidシステム、histamine作動性神経系あるいはミクログリアが関与していることが見出された。MAPによる嗜好性が抗うつ薬によって減弱されることが見出され、臨床現場での有効性について検証中である。MDMAと未規制薬物(注:2005.4.18より規制)の5-methoxy-N,N-diisopropyltryptamine(5-MeO-DIPT)を用いて動物実験が開始された。MDMAあるいは5-MeO-DIPTによる依存や精神障害のモデル動物は確立し、MDMAの分子機序を調べるための培養細胞を用いた実験系も樹立された。MAPとMDMAによる脳内遺伝子発現の変化の解析や両薬物によって共通して変動するタンパク質が同定された。
臨床研究:脳画像解析や遺伝子解析、薬物依存性評価システムの構築を行った。実態調査研究においては、総合病院の救命救急科に未規制薬物による健康被害例が来院しているが精神科での十分な対応がなされていないことが判明した。しかし病院と研究施設との研究連携システムは完成したためさらに調査が行われている。薬物依存者のゲノムは現在解析中であり、MDMA乱用者は独特の臨床類型を示す可能性が明らかとなってきている。依存重症度評価システムは構築され、ホームページ上に公開して活用できるようにした。
結論
平成17年度以降も、基礎研究と臨床研究グループが合同会議を持ちながら研究を進めていき、今後、研究成果を社会に還元する機会を設ける予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-