ワクチン製造株の品質管理に関する研究

文献情報

文献番号
200401173A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチン製造株の品質管理に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 篤(国立感染症研究所ウイルス第三部)
研究分担者(所属機関)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 海野 幸子(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 斉藤 義弘(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 仁田 義弘(武田薬品工業(株)光工場生物製剤部)
  • 大隈 邦雄((財)化学及血清療法研究所 第1製造部)
  • 李 富雄((社)北里研究所生物製剤研究所 製造第3部門)
  • 五味 康行((財)阪大微生物病研究所研究 技術部研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生きているウイルスを原材料とする生ワクチンは、元来的に製品間のばらつきが生じやすい特徴をもつ。そのため均一な性質の生ワクチンを製造する品質管理方法としてシードロットシステムを導入し、製品間のばらつきを少なくしようという議論が以前から行われきた。しかし、今に至るまでシードロットシステムへ切換える作業は進んでいない。本研究事業は、シードロットシステム導入し、そのための株の使用・保管管理方法を検討することを目的としている。
研究方法
我が国で製造されている麻疹、風疹、おたふくかぜ生ワクチンにおいて、ワクチン原株をオリジナルシード、製造承認株をオリジナルワクチンと定義し、そこからマスターシードあるいは1次シードと呼ばれる製造用保存株、さらにそれを用いてワーキングシードあるいは2次シードと呼ばれる株が作られるという図式を作ったとき、現行のワクチン製造がどのような形でその図式の中に描けるのかを実態調査し、科学的な株の使用・保管方法並びに検査方法を検討する。
結果と考察
製造各所社で独自に開発された生ワクチンの継歴、培養方法、管理方法は企業の資産であり、製造所社と各個に議論する事はできても、製剤毎に全体で議論する事は困難であった。しかしながら、調査した範囲で歴史的に開発時期が古いワクチンの場合は、GMPの概念も導入されておらず、使用履歴と残量が不明確な場合がある事、継代関係において単純な親子関係でなく混合されている場合がある事等が分かった。これらの事から、ワクチン品質を均一に保つ手段としてシードロットシステムを可能な範囲で導入し、管理方法を構築すべきであると思われた。
結論
ウイルスには基本的に変化しやすい性質があるため、安全で有効なワクチンであるための品質管理は、製造上たいへん重要な事項である。安全性と有効性が認められた株に対してワクチンとしての製造承認が与えられるが、その品質の保持の為に生物製剤規準では5代以内の継代しか許可していない。しかし、その間の継代方法を規程したものはなく、この枠内でいろいろな継代歴のワクチンが製造されてきた。今後は、「品質を一定に保つ」事をさらに優先させ、早急にシードロットシステムを導入することが求められる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-