インフルエンザワクチン需要予測に関する研究

文献情報

文献番号
200401172A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学保健医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 延原 弘章(高崎健康福祉大学)
  • 大日 康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 渡辺 由実(高崎健康福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
1.医療機関等を対象とした接種状況調査
 医療機関等に対し、シーズン前(16年10月)に協力を依頼し、シーズン終了後(17年3月)に調査票の回収を行った。調査対象施設数は、(社)日本医薬品卸業連合会加盟の医薬品卸売業者が15年度に1本以上を供給した全国75,997施設から、都道府県を層として抽出した5,083施設とした。調査項目はワクチン購入本数、年齢・接種方法別接種人数とした。
2.住民を対象とした接種意向調査
 高齢者,幼児・児童,成人の3グループを対象としてインフルエンザワクチンの接種意向調査を行った。調査対象は調査会社とモニター契約を結んだ880世帯である。調査項目は、16年度におけるワクチン接種希望と実際の接種の有無(有りの場合は自己負担額)および17年度のワクチン接種意向とJoint Estimationのための設問とした。
結果と考察
1.16年度のインフルエンザワクチン接種率は、世代間に格差がみられ、1歳以上6歳未満および高齢者の接種率が他の世代に比べると約50%前後と高かったが、全年齢では23.9%と依然として低率であった。
2.医療機関等を対象とした接種状況調査から17年度のワクチン需要数は約2,087万本から約2,155万本と推計された。
3.住民を対象とした接種意向調査から17年度のワクチン需要数は約2,058万本と推計された。さらに、鳥インフルエンザやSARSの国内発生があった場合、前者で274万本,後者で542万本の需要の増加があると推定された。
4.H16/17年シーズンにおける実際のインフルエンザワクチン使用本数は厚生労働省調べで1,643万本であり、本研究者等の昨年度の推計値は、医療機関調査で10-16%多く、住民調査で3-10%多かったことが明らかとなった。特に医療機関調査の過大推計は、H15/16年シーズンにみられたインフルエンザワクチン不足が医療機関等に危機感を与えたことの影響によると考えられた。
結論
インフルエンザワクチンの需要動向は、インフルエンザの流行状況、他疾患の流行状況、接種勧奨の程度、マスコミ等の報道のされ方などによって、大きく変化することを考慮すると、インフルエンザワクチン需要量の定型的な推計方法を確立するためには、長期に渡る継続した調査が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-08-02
更新日
-