牛由来成分を使用しない新たなワクチン製造の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401158A
報告書区分
総括
研究課題名
牛由来成分を使用しない新たなワクチン製造の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 齋藤 義弘(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 海野 幸子(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 井上 直樹(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 武田 直和(国立感染症研究所 ウイルス第2部)
  • 伊藤 治(農林水産省動物医薬品検査所)
  • 大隅 邦夫((財)科学及び血清療法研究所)
  • 真鍋 貞夫((財)阪大微生物病研究会観音寺研究所)
  • 駒瀬 勝啓((社)北里研究所)
  • 末原 章宏(武田薬品工業(株))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルスワクチン製造には,ワクチン株の増殖に使用する細胞,細胞培養過程に使用するタンパク分解酵素,培養液中の血清など,動物由来の原料が広く使用されている。動物由来原料には、既知及び未知の動物ウイルスや感染性因子が迷入している可能性がある。本研究では,動物由来物質を使わない生ワクチン製造の可能性を追求し,牛血清に迷入している可能性のある牛ポリオーマウイルス等の検出法を検討して,品質管理上の安全性に対する評価条件を提案した。
研究方法
分担研究者が,情報交換を行いながら平行して研究を進めた。現行の麻疹,風疹,おたふくかぜの各生ワクチンおよび日本脳炎ワクチン,A型肝炎ワクチンの不活化ワクチン製造に使用される各種細胞について,無血清培地を用いた場合の細胞増殖性および種ウイルスの増殖効率を検討した。(2)動物ワクチンで迷入汚染が危惧される牛ポリオーマウイルスについて検索した。
結果と考察
ワクチン製造用の細胞を無血清培地で培養したところ,通常と同等以上の増殖性を示すものがあった。しか継代につれて細胞増殖及びウイルス収量が低下し,また遺伝子突然変異が起る可能性も示された。ワクチンの安全性および有効性の確保問題を解決して、動物由来の感染性因子が迷入していない安全なワクチンの開発・導入が緊急課題である。市販の牛血清中には牛ポリオーマウイルス遺伝子が高頻度に検出され,一部生ワクチンにも検出された。しかし,全長の遺伝子DNAに近い長い遺伝子断片を検出するPCR法用いて検索した結果,いずれの製剤からも長鎖DNAは検出されず,感染性ウイルスの存在は否定出来ると判断された。
結論
現行ワクチンの原材料には動物由来成分が使用されているものが多いが,安全性を確保するためには動物由来の感染性因子の迷入を排除する必要がある。そこで,1)無血清培地を用いた製造方法を検討した。その結果、現在の無血清培地ではウイルスの増殖効率が悪く,遺伝的安定性に問題がある可能性が指摘された。2)人用の生ワクチン製剤及び使用した牛血清材料について,牛血清由来の牛ポリオーマウイルスの遺伝子を検索した。長鎖DNAは検出されず,感染性ウイルスの迷入は否定出来ると判断され,牛ポリオーマウイルス迷入否定の暫定基準を定めた。

公開日・更新日

公開日
2005-08-29
更新日
-

文献情報

文献番号
200401158B
報告書区分
総合
研究課題名
牛由来成分を使用しない新たなワクチン製造の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 齋藤 義弘(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 海野幸子(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 井上 直樹(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 武田 直和(国立感染症研究所 ウイルス第2部)
  • 伊藤 治(農林水産省 動物医薬品検査所)
  • 大隅 邦夫((財)化学及び血清療法研究所)
  • 真鍋 貞夫((財)阪大微生物病研究会 観音寺研究所)
  • 駒瀬 勝啓((社)北里研究所)
  • 末原 章宏(武田薬品工業(株))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルスワクチン製造には、ワクチン株の増殖に使用する細胞、細胞培養過程に使用する蛋白分解酵素、培養液中の血清など、動物由来の原料が広く使用されている。動物由来原料には、既知及び未知の動物ウイルスや感染性因子が迷入している可能性がある。本研究では、動物由来物質を使わない生ワクチン製造の可能性を追求し、安全なワクチンの確保を図る。また牛血清に迷入している可能性のある感染性因子を検索した。
研究方法
分担研究者が、情報交換を行いながら平行して研究を進めた。現行の麻疹、風疹、おたふくかぜの各生ワクチン及び日本脳炎ワクチン、A型肝炎ワクチンの不活化ワクチン製造に使用される各種細胞について、無血清培地を用いた場合の細胞増殖性及び種ウイルスの増殖効率を検討した又、動物ワクチンで迷入汚染が危惧される牛ポリオーマウイルスについて検索した。
結果と考察
ワクチン製造用の細胞を無血清培地で培養したところ、通常と同等以上の増殖性を示すものがあった。しかし継代につれて細胞増殖及びウイルス収量が低下し、また遺伝子突然変異が起こる可能性も示された。市販の牛血清中には牛ポリオーマウイルス遺伝子が高頻度に検出され、一部生ワクチンにも検出された。しかし、全長の遺伝子DNAに近い長い遺伝子断片を検出するPCR法を用いて検索した結果、いずれの製剤からも長鎖DNAは検出されず、感染性ウイルスの存在は否定できると判断された。ワクチンの安全性及び有効性の確保問題を解決して、動物由来の感染性因子が迷入していない安全なワクチンの開発・導入が緊急課題である。
結論
現行ワクチンの原材料には動物由来成分が使用されているものが多いが、安全性を確保するためには動物由来の感染性因子の迷入を排除する必要がある。そこで、1)無血清培地を用いた製造方法を検討した。その結果、現在の無血清培地ではウイルスの増殖効率が悪く、遺伝的安定性に問題ある可能性が指摘された。更に適当な培養条件の検討が必要である。2)人用の生ワクチン製剤及び使用した牛血清材料について、牛血清由来の牛ポリオーマウイルスの遺伝子を検索した。長鎖DNAは検出されず、感染性ウイルスの迷入は否定できると判断され、牛ポリオーマウイルス迷入否定の暫定基準を定めた。

公開日・更新日

公開日
2005-08-26
更新日
-