アクリルアミドの生成抑制及び毒性抑制に関する研究

文献情報

文献番号
200401147A
報告書区分
総括
研究課題名
アクリルアミドの生成抑制及び毒性抑制に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
今井 俊夫(国立医薬品食品衛生研究所(病理部))
研究分担者(所属機関)
  • 広瀬 雅雄(国立医薬品食品衛生研究所(病理部))
  • 大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所(薬理部))
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所(変異遺伝部))
  • 古賀 秀徳(カルビー株式会社(日本スナック・シリアルフーズ協会))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アクリルアミド(AA)の暴露は、これまで職業的な特殊条件下にのみ起こり得ると考えられてきた。しかし、炭水化物を多く含む食品を焼く、揚げることによりAAが生成され、広く加工食品中に含まれることが明らかにされ、JECFAはその暴露マージンからヒトの健康に影響を及ぼし得ると判断した。本研究では、AA含量の高い加工食品につき生成量の低減法を明らかにし、更に生体に摂取されたAAの毒性抑制法を実験的に確立する。その結果、加工食品中のAA含有量の低減化及び生活習慣の改善や毒性抑制物質の積極的な摂取による生体影響の軽減が期待される。
研究方法
【古賀:加工食品中のAA生成抑制】ジャガイモのスライス片をモデルとし、加工条件の違いによるAA生成量の変化を検討した。【大野:代謝と毒性抑制】ラット肝及び神経系細胞によりAAの代謝及び毒性に影響を及ぼす物質とその機序の解析を行った。【本間:遺伝毒性抑制】ヒトリンパ芽球によりAAとその代謝物であるグリシドアミド(GA)の毒性を比較し、遺伝子突然変異タイプを検索した。【広瀬:神経毒性抑制】AA誘発ラット神経/精巣障害モデルに対する抗酸化/第Ⅱ相解毒酵素作用を有する物質の影響を検討した。【今井:発がん性抑制】AA誘発ラット乳腺発がんモデルにより、抗酸化/第Ⅱ相解毒酵素作用を有する物質の影響を検討した。【倫理面への配慮】動物実験は「国立医薬品食品衛生研究所動物実験に関する指針」に従い、動物愛護に十分配慮して行った。
結果と考察
古賀】フライ前の水処理で生成量が減少し、揚げ種に水分が残存している場合AAは殆ど生成されないことから、前処理及び水分を残存させる条件が重要である。【大野】毒性発現に酸化的ストレスが関与し、N-アセチルシステイン及びメチオニンが毒性抑制に効果を示した。【本間】AAに比しGAの毒性が強く、AAは染色体レベルでの大きな欠失を、GAは主として点突然変異を誘発した。【広瀬】抗酸化物質であるα-リポ酸などに効果があり、機序としてレドックス制御が介在することが示唆された。【今井】AAの代謝を抑制、第Ⅱ相解毒酵素を誘導するイソチオシアン酸フェネチルの毒性抑制効果を明らかにした。
結論
AAの生成抑制には調理の前処理及び調理時間等が重要であり、毒性抑制には抗酸化、代謝抑制あるいは解毒酵素誘導作用を有する物質に効果のある可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-06-03
更新日
-