健康保護を目的とした食に関するリスクコミュニケーションの進め方に関する研究

文献情報

文献番号
200401137A
報告書区分
総括
研究課題名
健康保護を目的とした食に関するリスクコミュニケーションの進め方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
丸井 英二(順天堂大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀口 逸子(順天堂大学医学部)
  • 太田 裕見(サントリー健康科学研究所)
  • 大日 康史(国立感染症研究所情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食に関して、乳幼児を持つ母親の食に対するリスク認知および購買行動の現状を明らかにすること。また現在のリスクコミュニケーションの課題を抽出すること。
研究方法
全国市町村から層化無作為抽出で120市町村を対象とし、3歳児検診に参加した母親を対象として質問紙調査を実施した。また厚生労働省主催のリスクコミュニケーションの場に出席し、観察・記録法により課題抽出を行った。リスクコミュニケーションをテーマとして研修会に参加した食品企業を対象として質問紙調査を実施した。
結果と考察
 母親は、食の問題に約9割が感心をもち、自分や家族への危険性よりも日本全体への危険性を認識していた。自分や家族への危険性では「食品添加物」が最も多く、次いで「魚に含まれる水銀」であった。「食品を購入する際には、自己責任のもとで食品を選択するべきだ」としたのは約70%であった。妊婦と非妊婦では、妊婦のほうが危険性を多く感じていた。行政や研究者,メディアからの情報発信においては、一般消費者のこれらの問題に関する関心の程度や、リスク認知の現状を充分に把握しておくことが重要である。
実際のリスクコミュニケーションは、全体構成、プレゼンテーション、意見交換において課題が抽出された。リスクコミュニケーションは、関係者間において立場と考え方に違いがあることを認め、相互理解し、調整可能な部分を見つけ妥当な方策を探ろうとする場であるが、その姿勢はあまり見られなかった。
食品製造業関係者は、消費者へ向けた正しい情報伝達はほぼ全員重要と捉えているが、約半数がその自信がなかった。そして現況からの改良の余地があると認識していた。リスクコミュニケーションやリスクマネジメントに関しては、未だ理解は不十分であると約8割が認識しているにも関わらず、資料などが不整備な状況であった。消費者への正しい情報伝達のためには、食品製造業従事者のリスクマネジメント及びリスクコミュニケーションの視点にたった知識やスキルの習得が必要であることが考えられた。
結論
今後、リスクコミュニケーションが円滑に実施されるためには、実施のためのハンドブック及び評価のためのチェックリストなどを作成することが必要である。また食品関連企業などリスクコミュニケーション参加者は、参加の姿勢や方法について習得する必要があり、そのための資料整備が急務である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-21
更新日
-