食品中化学物質の複合毒性に関する実験的研究

文献情報

文献番号
200401125A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中化学物質の複合毒性に関する実験的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
広瀬 雅雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 中江 大(財団法人 佐々木研究所)
  • 原田 孝則(財団法人 残留農薬研究所)
  • 白井 智之(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川西 正祐(三重大学 医学部)
  • 中澤 裕之(星薬科大学)
  • 松元 郷六(財団法人 残留農薬研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中化学物質の複合毒性の実態を総合的に明らかにし、ヒト健康への影響を評価するための資料とする。
研究方法
1.NaNO2とアスコルビン酸(AsA)、カテコール(Cat)の複合遺伝毒性を検討した。2.AsAとNaNO2の反応によるNOの検出、CatとNOによる活性酸素種の検出と反応機構の解明、また、CatとNaNO2の投与による前胃粘膜DNAの酸化的損傷および病理組織学的検索を行った。3.ラット逆流性食道炎モデルを作成し、NaNO2とAsAを2週間併用投与した。4.in vitroの系で金属と食品中化学物質の相互反応による酸化的DNA傷害について検討した。5.ラット中期多臓器発がん試験に準拠し、グルコン酸銅(0-12000ppm)を13週間混餌投与し、肝の組織学的検索を行った。6.CYP3A4レポーター遺伝子安定発現株を用い、種々の農薬のCYP3A4誘導能評価を行った。7.MeIQx発がんを修飾する既知の物質をラットに2週間投与し、P450分子種を検討した。8.有機リン系(MPP)、有機塩素系(DDT)およびカーバメート系(MPMC)の3種類の殺虫剤を組み合わせラットに複合的投与し、臨床症状、コリンエスステラーゼ活性などについて検索した。
結果と考察
NaNO2とAsAにより、染色体異常が誘発及びNOが生成がされ、CatとNOの反応ではOHラジカルが発生した。CatとNaNO2の併用投与でラット前胃粘膜に細胞障害並びに8-oxodGが増加し、これら併用投与による前胃発がんにはDNA酸化的損傷が関与している。逆流性食道炎モデルでは、NaNO2とAsAの投与で食道粘膜に過形成が発生し、食道に発がん標的を示す可能性が示された。オイゲノールのカテコール代謝物、ニトロフラゾン、サルソリノールはin vitro銅の存在下で酸化的DNA傷害を誘発した。グルコンサン銅は6000ppm以上の投与群で、ラットに肝障害、8-oxodGの増加が観察された。CYP3A4レポーター遺伝子安定発現株では、alanycarbなどすべての被験農薬によってCYP3A4が誘導され、代謝酵素の誘導を介した化学物質の相互作用を予測する有効な系になり得る。一方、in vivoでは、CYPの誘導と発がん修飾作用との直接の相関性は乏しく、予測のためには他の代謝系を総合的に検討する必要性がある。ラットへのMPPとMPMCの複合投与で相加的毒性効果が発現した。
結論
食品中化学物質同士の反応等による相互作用の一端を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2005-10-17
更新日
-