200V配線推進に伴う感電災害・電気火災等の予防に関する研究

文献情報

文献番号
200401115A
報告書区分
総括
研究課題名
200V配線推進に伴う感電災害・電気火災等の予防に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
冨田 一(独立行政法人産業安全研究所(物理工学安全研究グループ))
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 健彦(関東学院大学工学部)
  • 本山 建雄(独立行政法人産業安全研究所(物理工学安全研究グループ))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
需要家が直接負荷機器を接続して使用できる電圧(以下、使用電圧という)が200Vに変更されたときの危険要因を明確にし、接地、漏電遮断器などの必要な対策手法を検討する。
研究方法
本年度では、①感電災害事例に基づく実態調査、②IEC479-1に基づいて感電部位から見た100Vと200Vとの感電危険性の比較、③プラグの結露による200Vの影響の予備実験、④海外の現状および安全対策の調査、⑤感電保護の観点から求められる接地条件についての検討を行った。この他、使用電圧を100Vから200Vに昇圧した韓国での感電災害の変遷、感電災害防止のための対策技術等を、直接、面談により把握した。
結果と考察
(1)我が国において平成7年?13年の7年間に発生した感電災害の中から65人の感電死亡者を調査した結果、アーク溶接作業を除くと、100Vと200Vでは、100Vが7人に対し200Vが22人で明らかに200Vでの災害発生件数が多い。
(2)100Vに比較して200Vでは感電した場合、感電部位によっては感電防止用漏電遮断器が設置されていても計算上、心室細動の発生する領域に達する可能性が推定された。
(3) 200V化を推進するためのインフラ整備としての接地に関する検討を行ったが、理論的には接地抵抗の改善によって方向性を見出すことができた。
(4)フランスではTN接地は工場で一般的に使用されており、TT接地は家庭等小規模施設で主に使われている。漏電遮断器は対象とする電気機器を考慮した特性のものが設置され、あらゆる配線系統に接地線が配線されている点が感電災害防止に大きく寄与していると考えられる。
 電流の人体に有害な影響については、電流の流れている時間に依存するため、通電部位と通電時間との関係を今後検討する必要がある。感電災害防止の基本はIEC60364にあるが、対策が常に有効に機能するように定期的な点検、保守が重要となる。
結論
使用電圧が100Vから200Vに昇圧されると感電危険性が増加する可能性があるため、今後より詳細な検討が必要と考えられる。周知の通り感電災害防止の基本は接地であり、使用電圧の200Vへの昇圧においても、接地が重要である。日本における100V機器においては必ずしも接地が取られていないことも多いことから、確実な接地が200V昇圧には不可欠である。また、漏電遮断器の高性能化、高信頼性化も重要となる。今後これらの対策をいかに確実に実行されるかが、円滑な使用電圧の昇圧に必須と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-