文献情報
文献番号
200401105A
報告書区分
総括
研究課題名
水素ガス漏洩爆発作業者安全基準策定のための被害評価方法の確立-次世代燃料利用技術開発に伴う災害防止への対応
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 典彦(名古屋大学大学院工学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 長谷川達也(名古屋大学エコトピア科学研究所)
- 斎藤寛泰(名古屋大学大学院工学研究科)
- 大塚輝人(独立行政法人産業安全研究所)
- 水谷高彰(独立行政法人産業安全研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
13,046,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
水素ガスは次世代クリーンエネルギーとして注目され,最近の水素燃料電池自動車に見られるように実用化開発が進展している.水素ステーション等の貯蔵施設からの漏洩による爆発事故に対応して,労働安全基準策定のための基盤技術として,被害評価方法が必要である.本研究は,水素爆燃の基礎特性を明らかにして,爆発被害評価方法を確立することを目的とする.
研究方法
水素-空気混合気を充填した風船を着火する方法を用いて,爆燃現象を計測した.高速度ビデオによる火炎伝播の観測と,圧力変換器による爆風圧測定を行った.容積が5.4, 150, 1400Lの3つの異なるサイズの実験を行い,比較した.1400Lは野外実験である.混合気中の水素濃度を変えてその影響を調べた.実験と並行して,既存の数値解析コード(CFX-4) を用いて,水素漏洩の濃度分布時間変化や着火後の火炎伝播過程を計算した.
結果と考察
1.異なるサイズの風船の実験結果を比較して,Sachsのスケール則が成り立つ事を示し た.混合気発熱総量・大気圧・音速を用いて,距離・過圧力・正圧インパルスを無次元 化してプロットすると,データが普遍的な関係式で表現できる.これを用いて,大規模 の場合の予測も可能になる. 2.火炎最大到達距離は,水平方向に初期混合気半径の2-3倍,鉛直方向に3-4倍である. 3.火炎の平均伝播速度は,当量比2近傍で最大となり,約40m/sであるが,局所的には50-100m/sに加速する場合があり,0.1気圧以上の圧力上昇が起きる. 4.燃料過濃混合気の爆発は余り注目されていなかったが,持続時間が長い爆風によって被害が大きくなることが予測される. 5.数値解析の結果は、小規模実験の結果とかなり良い一致を示した.
結論
1.水素爆燃被害評価方法の基盤実験技術を確立できた. 2.水素爆燃は,開放空間の条件下でも,顕著な爆風被害を伴う事があり,危険である. 3.既存の数値解析コードがかなり信頼性の高いものであることを確認し,水素燃料漏洩時の可燃混合気最大体積・可燃混合気体積時間積分値・燃焼熱時間積分値等が重要な爆燃危険性指数であることを示した. 4.実用上合理的安全基準値設定には更に検討が必要である.過圧力や正圧インパルスの危険閾値の設定には充分の検討が必要である.
公開日・更新日
公開日
2010-06-29
更新日
-