コア・コンペタンシーに基づいた医療安全教育についての研究

文献情報

文献番号
200401057A
報告書区分
総括
研究課題名
コア・コンペタンシーに基づいた医療安全教育についての研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部医療管理学講座)
  • メリリン・ウォルトン(University of Sydney 医学教育)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全の確保には医療従事者に対する安全教育が不可欠であるが、教育プログラムの標準化、特にマネジメントレベルと職種に応じた医療安全の教育プログラムは未開発で、散発的かつ手探りでの実施であり、また研修の評価は評価指標すら開発されていない。本研究では、特に能力開発教育の手法を用いて、院内職員を対象にした統合的教育システムを開発し、導入可能性、効果等を検証した。
研究方法
①米国IOMの提唱するコア・コンペタンシー5項目を参考に、わが国の医療の安全と質の確保に必要な人的資質を明らかにした。豪州シドニー大学においてNSW州政府の依頼に基づくNational Patient Safety Networkとして開発中の、コア・コンペタンシーに基づいた医療安全プログラムの内容、導入スケジュールを明らかにした。米国で提唱された5項目は、必ずしも全ての資質を網羅していない可能性があるため、多職種の教育担当者を中心とする小グループを構成し、日本の医療環境におけるコア・コンペタンシーを明らかにした。②米国ASHRM、VHAによる医療安全カリキュラムを調査し、特にコア・コンペタンシー概念の反映状況、目標設定と評価、教育手法について明らかにした。
結果と考察
一般に、事故は研修を終了した新任者が業務に従事する際に発生することが多く、全ての医療従事者で新任者教育の重要性が指摘されてきた。積極的に事故予防の院内システムを構築し、医療安全を組織文化として確立することが要求されている。散発的でシステム化されていない、従来の医療事故防止対策や教育研修では不十分である。OMは、医療に求められる質と安全を確保するための人材養成では、5つのコア・コンペタンシーの重視が必要であると報告している。豪州では、総合的な医療安全戦略を国家プロジェクトとし、コア・コンペタンシー概念や能力開発理論に基づいた、マネジメントレベル・職種別の教育カリキュラムを開発している。コア・コンペタンシーに基づいた、職種を問わない、マネジメントレベルに応じた教育プログラムの開発は急務である。
結論
本研究は、①現在の社会ニーズに基づいた「医療安全」の概念を教育上の目標設定とともに明確にし、②実現に向けたカリキュラムとして各医療従事者の役割要件を明らかにし、③教育手法として能力開発理論、ケーススタディー、実習を活用し、④国際共同研究により国際間の整合を図りつつ進める、ものである。本年度は諸外国の事例検討に基づき①④を実施した。

公開日・更新日

公開日
2005-10-28
更新日
-