新人看護職員研修の推進に関する研究

文献情報

文献番号
200401043A
報告書区分
総括
研究課題名
新人看護職員研修の推進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
竹尾 惠子(国立看護大学校)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 三枝子(国立看護大学校)
  • 正木 治恵(千葉大学看護学部)
  • 佐藤 エキ子(聖路加国際病院)
  • 廣瀬 千也子(日本看護協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会報告書」(平成16年3月)に掲げる指導体制をとっている施設がどれくらいあるのか仮設基準を作成して調査し、そこで何人くらいの育成が可能なのかについて試算を行った。
研究方法
東京、神奈川、大阪、兵庫の全病院(調査A)と、独立行政法人国立病院機構の全病院(調査B)を対象に、郵送によるアンケート調査を行った。指導体制や教育環境の仮設基準10項目を作成し、各々に1点を配点、合計を仮設基準スコアとした。
結果と考察
調査Aの回収数(回収率)は440施設(22.7%)、病床規模が大きいほど回収率が高かった。また、病床規模が大きいほど仮設基準スコアが高い傾向にあり、300床未満の施設では仮設基準スコア8点以上の施設の割合は50.0%であったが、300床以上の病院では81.2%であった。試算の結果、4都府県の仮設基準スコア9点以上の施設で平成16年度に育成している新卒者数は8,615人、育成可能数(看護職員数の1割)は8,850人である。仮設基準スコア8点以上の施設で育成している新卒者数は12,025人、育成可能数は13,624人であった。これは4都府県の病院勤務看護職員数の4.6%(9点以上)、7.2%(8点以上)である。つまり、4都府県全体の看護職員の離職率が4.6%未満の場合には仮設基準スコア9点以上の施設で新卒看護職員の育成が可能であるし、離職率が7.2%未満の場合には仮設基準スコア8点以上の施設で新卒看護職員の育成が可能ということである。しかし、低回収率がセルフ・セレクション・バイアスによる場合、実際の育成数は試算の1/3程度である可能性もある。
 調査B(回収率76.7%、分析対象は109施設)の試算では、仮設基準スコア9点以上の施設は50施設、育成している新卒者数817人、育成可能数(看護職員数の1割)は992人、8点以上の施設は82施設、育成している新卒者数1,361人、育成可能数は1,633人であった。
結論
新卒看護職員の看護実践能力は、就職時点では「1年後の1割程度」、就職後3ヶ月で「4割程度」、6ヶ月で「6割程度」、9ヶ月で「8割程度」しか発揮できないという評価であった。新卒者を育てながら患者の安全性を確保するには施設努力だけでは限界があり、看護師の卒後研修を義務化するという方策もひとつの手段であろう。

公開日・更新日

公開日
2005-06-21
更新日
-