文献情報
文献番号
200401038A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研修の実際に関する調査及びその解析
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
尾形 逸郎(医療法人財団河北総合病院)
研究分担者(所属機関)
- 葛西 龍樹(医社カレスアライアンス)
- 西野 洋(亀田メディカルセンター)
- 岡田 唯男(亀田メディカルセンター)
- 井村 洋(飯塚病院)
- 吉津みさき(河北総合病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新臨床研修制度が発足し、プライマリ・ケアの基本的な診療能力の修得が求められている。研修教育における指導医の役割は重要で、その養成と充実が肝要である。一方、患者や家族の協力が不可欠である。さらに、臨床研修病院の研修機能の評価も必要と思われる。本研究では臨床研修を充実させるため、これらの観点から臨床研修の実情を明らかにする。
研究方法
特定非営利法人VHJ機構会員の15民間臨床研修病院の患者・家族を対象に、研修医に対する受容度に関するアンケート調査を行った。VHJ機構が開催した臨床研修指導医養成講座に参加した医師48名を調査対象としたアンケート調査、全体討論、グループ討論のから臨床研修の実情を分析した。研修機能に関してVHJ機構会員の臨床研修病院を対象に質問表と訪問聞き取りによる調査を行った。指導医養成(FD)について、厚生労働省に保管されている資料から日本のFDの現状を分析し、北米のFDと比較検討した。
結果と考察
診療行為に関しては、患者へ侵襲度が高くなるほど、研修医の関わりを反対する傾向にあった。しかし、研修医に診療を受けた患者の69%は診療に満足しており、76%は研修医の診療を受けることに肯定的であった。否定的な意見は6.6%にとどまっており、十分な指導体制が取れていれば、臨床研修は患者・家族に受け入れられるものと思われる。医師患者関係は、研修医には負担が大きく、指導医の十分なサポートが必要である。また、国民に研修制度を周知させ、理解を得ることも重要である。指導医は、科の違いによらず、研修医教育において負担を感じているものの、指導することを好きで楽しいと感じている者が多かった。現状では指導医が指導に関わる時間がとれていないことに問題があり、プライマリ・ケアの指導では上級医(中間指導医)に任される役割が多く、上級医を制度に組み入れていく必要がある。臨床研修病院において管理者・指導者・研修医の間にはコミュニケーションのギャップがあり、研修に関する率直な対話と研修医・指導者の精神面を含めた研修・指導環境の整備が望まれる。また、臨床研修制度の充実発展に指導医養成が不可欠で、先行する欧米の手法が参考になる。
結論
今回の検討で、臨床研修制度の問題点やその対策の端緒の一部分が明らかにとなったと考える。さらに、臨床研修の充実、発展を促進させるためには、臨床プログラムの充実、欧米の制度との比較検討が必要であろう。
公開日・更新日
公開日
2005-07-22
更新日
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