歯科医療における院内感染防止システムの開発

文献情報

文献番号
200401033A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医療における院内感染防止システムの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
泉福 英信(国立感染症研究所(細菌第一部))
研究分担者(所属機関)
  • 公文裕巳(岡山大学(大学院医歯学総合研究科))
  • 高柴正悟(岡山大学(大学院医歯学総合研究科))
  • 西村英紀(岡山大学(大学院医歯学総合研究科))
  • 狩山玲子(岡山大学(医学部・歯学部付属病院泌尿器科))
  • 苔口 進(岡山大学(大学院医歯学総合研究科))
  • 小森康雄(東京医科大学(口腔外科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療を行うにあたって、その安全性の確保は最も重要な課題であるが、院内感染のリスクは未だ減少しておらず、その監視体制の整備が望まれている。院内の環境や歯科用材料・器具・医療機器に形成される細菌バイオフィルムは消毒薬に抵抗性を示し、そのことが院内感染の要因になる可能性が高い。このような歯科医院における院内感染も危惧されているにもかかわらず、現実には院内感染防止において病原性微生物に特化した監視体制は整備されていない。またSARSのような新規ウイルスの伝播が危惧された場合、歯科医療の現場では混乱が生じ間違った対応や行為におよんでしまう危険性もある。上記の院内感染に関る問題点を解決するために、本研究では歯科医療における院内感染防止システムを開発することを目的とする。
研究方法
神奈川県および埼玉県川越市歯科医師会に所属する歯科医師4047人を対象にアンケート調査を行い、有効回答者803人からの結果を集計して検討解析を行う。研修を行ったグループと行っていないグループに分け、研修の効果を解析する。デンタルユニット内循環水サンプルを用いて微生物の同定および評価方法の確立を行う。また、口腔内挿入医療器具の表層サンプルや易感染性宿主に対する歯周病診療における口腔内サンプルや飛び散ったサンプルを用いて、キャピラリーフローセルシステムやリアルタイムPCR、LAMP法などが検査として有効であるか検討する。
結果と考察
歯科医師を対象に行ったアンケート調査では、院内感染対策の基本であるユニバーサルプレコーションを理解して実践している割合が10%前後と低く、院内感染に対する意識の低さを認識する結果となった。研修を受けたグループは受けないグループよりも院内感染対策の認識が高くなる傾向が認められ、研修会などの情報発信の重要性が再確認された。また歯科用ユニット内循環水、歯周病治療時の飛沫汚染、口腔内に挿入する歯科用器具における有効な微生物汚染検査システムあるいはツールを開発し、院内感染防止システムの構築の土台ができた。以上から、院内感染対策のための情報発信、検査ツールの開発を含めたシステムの構築が必要であることを示唆した。
結論
現状の歯科医院には、院内感染対策のための意識や行動が不足していた。歯科医師の行動に反映するような院内感染対策の向上のための情報発信が重要であり、そのための検査ツールの開発やマニュアル作成が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-