救急医療評価スタンダートとスコアリングガイドラインを利用したベンチマーキングに関する研究

文献情報

文献番号
200401031A
報告書区分
総括
研究課題名
救急医療評価スタンダートとスコアリングガイドラインを利用したベンチマーキングに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 哲也(帝京大学医学部救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学総合研究所医療管理学)
  • 有賀 徹(昭和大学医学部救急医学)
  • 堀 進悟(慶應義塾大学医学部救急医学)
  • 箕輪 良行(聖マリアンナ医科大学救急医学)
  • 石原 哲(白鬚橋病院医療管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「救急医療評価スタンダード&スコアリングガイドライン」の評価項目の妥当性を高めることを研究目的とした。
研究方法
重症外傷患者の治療経過と治療成績を評価するため、日本外傷学会Trauma registry委員会及び日本救急医学会診療の質評価指標に関する委員会の協力を得て、外傷症例登録(日本外傷データバンク)を開始した。登録に不可欠であるAIS (Abbreviated Injury Scale)の正確な記載を目的として、米国のAAAM (Association for the Advancement of Automotive Medicine)の指導者によるAISに関する講習と講演会の講義録を日本語に翻訳した。少人数制の講習では、実際の診療録を使用して具体的なAISコーディングについて実習を行い、講演会ではAISについての基礎的な内容を救急医療に従事する医師のみでなく、診療情報管理士などにも広く伝達した。評価項目の中で重要な意義を持つ救急医療の標準化教育の中で、外傷に対するプログラムの準備が不十分であったので、日本救急医学会JATEC企画運営委員会の運営するJATEC (Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)コース終了者を対象として、豚を使った外傷手術の標準化を目指した手術手技トレーニングコースを試行した。
結果と考察
日本外傷データバンクはインターネットへの接続環境が整ってさえいれば、特殊なハードウエアやソフトウエアを必要とせず、高いセキュリティのもとで外傷症例登録が可能であることが判明した。日本外傷データバンクには国内の50施設が参加し、6000例の外傷症例が登録された。救急医療領域において、希望する全ての救急医療機関が参加可能な症例登録の受け皿を公開することにより、救急医療の評価項目に症例登録への参加の有無を加えることが可能になった。日本外傷データバンクに参加することによりCT施行までの時間や防ぎ得た外傷死の割合など治療の過程や結果に関しても評価できる可能性が示唆された。また、外傷手術の標準化コースが実現可能であることが判明した。
結論
主に症例登録と標準化教育の観点から「救急医療評価スタンダード&スコアリングガイドライン」を見直すことができた。「救急医療評価スタンダード&スコアリングガイドライン」を活用すれば、ベンチマーキングに不可欠なデータベースを構築することができる。単に既存の救急医療施設をランク付けするのではなく、個々の施設の努力目標を明確にして質を向上させることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2005-10-28
更新日
-